第29章 山茶花
ー穂波sideー
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ゲームをする研磨くんの隣で本を読んで40分くらいしたのかな、
研磨くんがこてんと寝転がってわたしの足の上に頭を乗せた
…うぅ 不意打ちでなくともきゅんなのに
不意打ちで来られるときゅんがすごい
こともなげに研磨くんはゲームを続ける。
「…ぬく」
抜く? あ、温いってことか…
研磨くんはそう呟きながら身体を横に傾ける
横を向いたのをいいことに本を読むふりをして研磨くんの顔をじーっとみる。
真剣にゲームしてる横顔。
綺麗な指。無駄のないように見える手つき。
無駄っていらないものもいっぱいあるけど
愛おしいそれも多い
けれど、研磨くんの基本スタイルである無駄のなさは、
粋で、小慣れてて、かっこいいし色っぽい…
そんな研磨くんがたまにいう馬鹿っぽい発言の破壊力とか…
あぁ、綺麗な目。鼻。唇。おでこ。
横顔、たまらん…
「…穂波、もう本読んでないの」
はっ! こっそり見るつもりが夢中になってがっつり見てしまってた。
研磨くんはちらこちらに視線を向けて、またゲーム画面に戻す。
『…うん。ちょっと休憩。葡萄食べようかな』
「あ、おれも。 口に入れて」
『…寝転んで食べるの?』
「…あ、そっか。じゃあ、まだいい」
そう言って研磨くんはそのままの姿勢でゲームを続ける。
…葡萄よりこの姿勢でいたいってことかな。
…きゅうん
手を伸ばしてお皿をとって何粒か食べた。
鞄からハンカチを出して手を拭く。
「食べ終わった?」
『ん?うん、まだあるよ』
「…ん」
研磨くんは片肘を付いて状態を軽く起こし、
わたしの首の後ろに手を添えてキスをした
ゆっくりと唇が離れる
じーっと目を見つめられる…
綺麗な 綺麗な 瞳。