第29章 山茶花
『研磨くんゲームしてたいでしょ?わたしテキトーにしてるからね』
「…うん、じゃあそうする。どう森やる?」
『どう森?』
「…前穂波が気になるって言ってたやつ」
『あぁ! 今はいいよ、研磨くんのしたいのやってて?また後でやらせてもらうかも』
「…ん」
穂波は鞄から文庫本を取り出した。
あ、読み始める前に…
顎をに指を添えてくいってしてこっちに向かせて、軽くキスをした。
『…ん』
「…やっぱもうちょっと」
もう一回キスしようとしたところで
コンコンッ
「 ! 」
ドアがノックされる。
…そっか、母さん飲み物持ってくるって
「入るよー」
「…どーぞ」
あったかいお茶を保温瓶に入れて持ってきてくれた。
穂波が持ってきてくれた葡萄も。
「お持たせで悪いけど… すごく美味しそうだったから。
研磨、お茶菓子もあるからまた頃合い見てお出ししてね」
「あぁ、うん。 …でもアイス食べに行く、多分」
「あ、そっか。2人ともほんと好きだね、あのお店。
じゃあお菓子、紙袋に入れとくから研磨お願いね」
…帰るときに渡してってこと?
「…ん」
「じゃあまた出る時声かけるね。穂波ちゃんごゆっくり〜」
母さんが部屋から出てく。
『…ふふっ』
「………」
『うちにいる時にはないどきどきが味わえて楽しい。
高校生って感じがする』
「…ならいいんだけど」
おれは別にそんなの求めてないかな…
おれはゲームを再開して、
穂波はお茶をカップに注ぐ。
『研磨くんのも入れとく?』
「…うん、お願い」
穂波は本を開いて隣で読み始める。