第29章 山茶花
超絶ネガティブ… 心配性ってことかな?
アメリカ人の友達で1人いる。
触れる物、口にする物…菌とかそういうのにも敏感で慎重で、
一緒に日系スーパーに行って梅を買って、
梅干しと梅肉エキスの作り方を教えたらすごく喜んでくれたなぁ…
『…春高も寒い季節にするし。毎朝梅干し食べて、万全で挑んでくださいね!』
「………」
「穂波、いきなり何言ってるの」
『あ、いや、Julianいるでしょ、彼のこと思い出して… それで…』
頓珍漢なこと言っちゃったかな。
「…あははっ!なんで聖臣が梅干し好きってわかったの?」
「………」
『あ、本当? あー良かったぁ、変なこと言っちゃったかと思った。
梅干しは強い味方だから。ね、聖臣くん』
「…梅はその日の」
『難逃れ、だもんね。食べない日もわたしはよくあるけど…』
「………」
『 あ、聖臣くん、梅肉エキスって知ってる?』
「…いや、知らない」
『ちょっと調べてみて、きっと興味あると思う。あと、梅醤番茶も』
「…わかった」
『…ふふ、別に怪しい勧誘じゃないからね。
…わたし、音駒高校の運天穂波。
春高も応援に行くから、試合みれるの楽しみにしてるね。
じゃあカズくん、行こっか。古森くんも聖臣くんもありがとう』
カズくんと手を繋いで音駒のみんなのところへ向かう。
…よかった、まだみんないる。
「穂波、ごめん」
『えっ いや、謝らないで。カズくん、大丈夫だったんだよね?』
「うん。けどそのせいでなんか変なやつに触らせちゃった」
『…変なやつ、ではないでしょう』
「けどあいつの手首えげつない角度に曲がってた」
『だからって変なやつって言うのはもっとダメ』
「…わかってるけど」
『うん、わかってるの知ってるよ。でも、さ。大事なことだよ。
今の一言でカズくんがそういう風に人を見るって思う人だっているかも。
だから変に言い回さずに真っ直ぐ言えばいいんだよ』
「…穂波のこと知らない男に触られて嫌だった」
『…ん。 そうやって真っ直ぐに言ってくれた方が…
あぁ…きゅんが… きゅんがすごい』
自分で促してしまったとはいえ、
真っ直ぐに言われるとやっぱりずっきゅんってなる。