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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第29章 山茶花








『ひゃあっ』

「………」





マスクでホクロの人が手首を掴んでぐっと引き寄せ、
そのまま腰に腕を回して抱き寄せられる。

すっ転ぶと思っていたので予想外の展開で、
ぐるぐるするのと安堵感とでよくわからない

カズくんがどうなったかも気になるし…






『あ、ありがとうございます。それからぶつかってしまってごめんなさい』

「………」

『もう大丈夫です、友達が、あの…』

「…受け身」

『はい?』

「受け身取ろうとしたの?」

『…あ、はい、クセで』

「…クセ」




顔色、マスク、空気感… 潔癖症っぽいけど、そんなことないのかな。
普通にわたしのこと触っても平気?





「聖臣、えっ、何やってんの!?」

「お前が…」

「…ちょっと、穂波から手、離して」

「…あ?」

『あ、カズくん大丈夫だった?』

「あ、お姉さん?ごめんね、俺の鞄とこの子の鞄が引っかかっちゃって…
転んじゃったんだけど、すっごい転がり方上手いのな、彼。
なので怪我はないと思うんだけど…」



人の良さそうなまろ眉のかわいらしい人。




『あ、大丈夫でしたか?その、あなたも』

「うん、俺もね、滑り込むのはそれなりにうまいから!
ねぇ、君なんでそんなに転ぶのうまいの?」

「………」

「あっ、俺ね、井闥山学院の古森元也。
んーと、さっきまで試合してたわけでそんな怪しいやつじゃないよ」

「………」

『…あ、カズくんはスケボーしてるの。すごい上手くて、スポンサーもついてて。
スケボーしてると、転ぶのは自ずと上手くなるというか…』

「へー!スケボーだ!かっこいいね!
じゃあそろそろ聖臣、お姉さんからその手を離しなって」

『聖臣くん、ありがとう』




聖臣くんというホクロの彼に改めてお礼を言うと、すっと腕が離れた。




「でも聖臣珍しいね、あんな風に人に触るの」

「………」

『あ、わたしがすっ転びそうになったのを支えてくれて…』

「あ、そっかぁ。そうなんだ、聖臣、人助けしたんだね。
でもこいつ超ッ絶ネガティブでさ、菌とか気にして極力人にも物にも触れないんだよね。
だから、珍しいなーって」









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