第29章 山茶花
カズくんの言う通り、
光太郎くんは思うように打てないようになったみたいだった。
バスケはもうちょっと視覚的にもわかりやすいけど、
バレーはネットを挟んでいることや、
ボールを持てないこともあってか、
えええ、そこにそんな目的があったんだ!と思うことが多い。
…カズくんに言われないとわからなかったけど
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「あいつもやるね。相手の5番。研磨とは違うけどあいつも賢い。おれ、あいつすき」
今のは、わたしもわかった。
ツーアタックするとみせて、光太郎くんにトスをあげたんだ。
光太郎くんがスパイクを打ちやすいように。
リエーフくんが反応早いのも、きっと見越していたんだろうか
『梟谷の5番の彼は京治くんだよ。すごく素敵な人。機会があれば紹介するね』
「次、またクロが前衛に来るから、その前に打たせたんだろうね」
『えぇっ』
そっか、ローテション… そんなことまで考えてるのかぁ
あーちょっとほんとに情報量半端ないなぁ!
奥行きがすごい。
「穂波合宿で何やってたの?」
『主にスコアをとらせてもらっていた…』
「ふーん まぁ、そんなもんか」
『えっ カズくんどういう意味?』
「いや、そのままの意味」
呆れられてる気がするけど…
あの一本から、光太郎くんは調子を上げて行って、梟谷が2セットとった。
音駒は、次の試合で勝たないと春高へはいけないってことだ。
…でも、きっと大丈夫。
わたしに出来ることは、信じて見守ると言うか…
信じてここにいることしかない。