第29章 山茶花
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「穂波ちゃーん!」
拡声器を持った制服姿のあかねちゃんが声をかけてくれる。
隣には…間違いないだろう、リエーフくんのお姉さんがいる。
『あかねちゃん、おはよう!すごい!メガホン!』
「うん!ばっちり応援するんだから!…向こうにいる子は?研磨さん弟いたっけ?」
応援団の近くとか、無理。 と言って
少し離れた席にいるカズくんを見ながらあかねちゃんが言う。
「ううん、わたしの友達。研磨くんの友達でもあるよ。
また挨拶できそうだったらするね。ああいうとこは研磨くんそっくりで…」
カズくんはゲーム機を取り出し、ゲームを始める。
丸まった背中も、力の抜け具合も研磨くんそっくり。
「へぇ〜 あっ、こちらリエーフくんのお姉さんのアリサさん」
「はじめまして〜 いつもリエーフがお世話になっています〜』
(穂波ちゃんってリエーフがいつも話してる穂波ちゃんよね?
どうしよう。ここからどんな風に話せばいいかしら…)
『はじめまして!穂波です。 こちらこそいつも元気をもらっていて…』
お話しながら綺麗な翡翠色の目に吸い込まれていってしまう。
CHU!
リエーフくんと同じ綺麗な翡翠色の瞳と
アリサさんから漂う花のようないい香りにぽけーっとしてたら
額にキスが落とされた。
「かわいい!リエーフから聞いてる通りかわいいわぁ〜♡」
おでこが、熱い。
こんな綺麗な人にチューされちゃった。
て言うか本当に脚が長い。
リエーフくんもだけど、ほんとに本当のモデル体型の人って、腰の位置が違う。
これでヒールを履いてしまうほんとにとんでもないことになるんだよなぁ。
小さい頃お父さんの仕事について行って
女子トイレで海外のモデルさん達に囲まれてトリップした経験がある。
顔が見えなくて足ばかり見えて、別世界にいってしまう心地がした。
「穂波」
ぽけーっとしてると後ろから腕を引かれる。
「おれトイレ行くから鞄みてて」
カズくんに現実世界へ引き戻される。
そうそう。今日は代表決定戦。
そしてなんと、第一試合は、VS梟谷学園。
どきどきがすごい。