第5章 夏
ー研磨sideー
「着替えここ置いておくね〜お待たせ〜」
心さんが脱衣所を出て行く音がする。
穂波のことを後ろから抱きしめていると、
いつもより穂波が小さく感じる。
こう、すっぽりと収まるような。
…愛おしい
顎を持ち顔をこちらに向け、口付けをする。
「……穂波、上がろっか」
『…ん』
身体を拭いて、用意してもらった服を着る。
カーキのトップスに黒いスウェット地のハーフパンツ。
サイズはぴったしだ。
『研磨くんっ』
部屋着に着替えた穂波が抱きついてくる
『今日はありがとう。夢みたいな日だった。ずっとずっと幸せ。……ほわほわするよ』
「…ん。おれも。…ほわほわする」
頭をポンポンっとして、脱衣所を出る。
「あ、やっぱりサイズぴったりだね。
下はアキのお下がりだけど、よければもらってね」
リビングに行くと心さんがそう言った。
研磨「…あ、はい。ありがとうございます。……この間ももらって…」
心「いいえぇ。…穂波喜んでた。店の服もアキのお下がりも似合ってた、かっこよかったって」
『お母さんっ、改めて言わなくっていいのー』
シゲ「ゆっくり話したいとこだけど、もう送って行ったほうがいいんじゃないか?
親御さんにこちらから連絡を入れるべきなのに、時間も時間で。
引き止めるような形になってしまってすまなかったね。」
研磨「…え、いや、おれ男だし、遅いからってそういう心配は…してないかな…
連絡も入れてあるし、心配しなくて大丈夫…」
心「でもこれから続く関係だし、またご両親にも挨拶くらいさせてね。よし!じゃあ車いくよ」
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家に着くと、やっぱり親は寝ていて、
玄関の電気だけついてた。
心さんにお礼を言って、家に入る。
…ほんと、今日は長い時間穂波と居たな。
歯磨きをして布団に入った。