第28章 しらす
「…でも母さんってもっと、外見で人選ぶと思ってた」
「何よ賢二郎、失礼ね!一体私を何だと思ってるのよ!」
「…日焼けしてて、髪染めてて、肌の露出に抵抗がなくて。
そういう子を連れてきたら嫌な顔しそうだけど」
「何あなた穂波ちゃんのことそんな風に見てるの?
第一、それもさっきの発言も穂波ちゃんに相当失礼だわ。
息子ながらじわじわと相当腹が立ってきた…」
「…俺はただ外見の特徴を羅列しただけ」
「…これは仮定よ?あくまでも仮定だからね。
私がたとえ外見重視の人間でも穂波ちゃんは余裕でクリアするわよ」
「ふーん」
「綺麗な子よね、外見も内面も。
大きくなってから会ったの昨日が初めてだけど、それでもわかるもの。
あの子は内面の美しさが滲み出てる」
「…間抜けなとこも多いけどな」
「それにね、賢二郎」
「………」
「大切な息子のこんな表情を引き出してくれるなら、
それだけで彼女のことを信頼できる ってくらい優しい顔してるのよ、あなた。
穂波ちゃんの隣にいると」
「………」
は?マジで母さん何言ってんの?
そういう話してるんじゃないんだけど。
「賢二郎、相変わらず目で語るのが上手ねぇ〜
もうお母さん、目を見なくても何言ってるかわかっちゃうわ。空気だけで」
「………」
「…だから私は穂波ちゃんとのことなら何でも応援するわよ。
お勉強や部活は何も言わなくても、頑張るだろうから。
なにか相談事があったら何でも言ってね」
「…いや、絶対しねーわ」
「まぁ。お泊まりの許可を取ることだって相談の一つよ?」
「はっ!?あんた息子に何言ってんの!?」
「…うふふ 相談事、絶対しないって言い切っちゃって良いの〜?」
「………」
「無言ってことは…」
「………」
「やっぱりそのうち相談するってことね」
「…だから何でそうなんだよ。あーもういい、ここで降ろして。歩く」
「いいわよ、私も朝練少し覗かせてもらうし… ご挨拶に行くもの」
「それは母さん一人でやって… 時間あるし歩くわ…」
なんか、どっと疲れた
返事、まだ返してない。
昼休みにでも返そう。
…別に短い返事しかしないけど。なんとなく。
昼まで先延ばしにしたい。