第28章 しらす

ー研磨sideー





「なに穂波、電話の相手、研磨？」

『あ、遊児ちょっと…』





受話器の向こうでそんなやりとりが聞こえたかと思うと…





「うぇーい　研磨、久しぶりだな！」

「………」

「お前何で穂波が他の男とあうのそんな普通に許せるわけ？
俺はぜんっぜんわからん」

「あ、そうなんだ。遊児は、お互い様みたいな感じかと思った」

「俺はこうみえて、一人に決めると一途なんだよ」

「…じゃあ穂波に決めてはないんだ」

「あ？　あーそれはだって　諦めたくねーけど、可能性ないべってどこかわかっちゃってんもん
すっげー悔しいけど　まーしょーがねーもん。　穂波研磨のこと好きだし」

『ちょっと洗面所行ってくる！』

「おー」

「………」

「だからさ、100歩譲って研磨とならってしてるとこ、
宮城に来てまで他の男に言い寄られてるの見るのはイマイチだなーっと。
まぁ、しょーがないから、楽しむしかねーけどさ」

「言い寄られてた？」




白布ってやつのこと？




「そんな好きとかかわいいとか人前で言う感じのやつじゃねーけど、
話の盛り上がり方とかなんつーか… 目？　穂波のこと見る、目がさ。あんじゃん」

「…あぁ」

「穂波も穂波でいつも通りなのが余計心配になるしよ」

「………」

「宮城でくらい俺の知ってる範囲で遊んでりゃいいのに… なーんかもやっとすんだよなー」

「………」

「研磨、お前どーゆーつもり？」




あ、やっぱりおれにもむかついてるんだ




「…別に」

「なんかいろいろ？」

「いや、なんかいろいろじゃあないけど。何それ？」

「今日、穂波が話を　なんかいろいろ ってまとめて終わらせようとするの、
すっげー切り込んできてて。　結局喋らされてた」

「…ふーん」




なにそれ。　確かにちょっと…
おれの知ってる穂波の周りにいる奴らとは違う感じがするな。

月島でさえ、穂波のそういうとこはそういうとこで、
受け流してそうな感じするし…