第28章 しらす
「…で?」
『ただサーフィンもスケボーも盛んだし、
カリフォルニアは冬は雪が降るからスノボも行けるし、
お兄ちゃんの家があるから下準備なくぽーんと行けるし…とか』
「…とか?」
『中南米、まだ行ったことないから、旅行で行きやすいかな…とか』
「…とか?」
『別に大学で学んで終わりな訳じゃないし、
JCUに行きたいって思えば編入もできるし…』
「…だし?」
『ダブルメジャーがやっぱりやりやすいのかな、って思うの。
オーストラリアのそれについては、詳しくは知らないんだけどね』
「…別にそれくらいで十分じゃん。
おどおどしてた意味がわからない。ちゃんと考えてるし」
『………』
「俺が実家が近いからって理由で東北大の医学部受けるって言っても
穂波何も思わないだろ」
『うん、思わない』
「…ただそれだけだけど。俺そんな怖い?」
俺やっぱり穂波のこと、おどおどさせてんのかな。
『いや、全然怖くないってば』
「じゃあ何でそんな言い渋るわけ」
『それはただ、自分の弱みというか』
「弱み?」
『癖というか… まぁいいよ、ね? わたし全然怖がってない。
白布くんはわたしが怖がってるとおもって、語気が強くなったのもあるでしょ?
だからそれは心配しなくていいよ。お互いのこと、これから知っていけそうだね』
「だから何でそういう風にまとめるかな、話の最後」
『へ? あはは、ごめんね、頓珍漢で。
でもさ、こうやって気になることがあると聞いてくれるから、
知ってくスピードが速いなぁって思って』
「………」
そういうことか。
勝手に焦ってたっぽいな… だっさ…
『ださくないし、これからもそんな感じでSっ気たっぷりに切り込んでね。
わたしはそれを通して白布くんのことも自分のことも知れて楽しいから』
「………」
『遊児は、変わらずかな?』
「まーなー 変わらずっス。 つーか俺今日泊まってく」