第28章 しらす
「なっ なに今の!?」
『お母さんたちの真似した。海外の人たちはもっと違うのもしてるよ』
「はっ!? 俺ちょっと今の無理」
『ごめん、しらぶくん。わたしのこと嫌いになった?』
「はぁ!? そんなわけないけど、今のやつは大人がするやつだ」
『…そうなのか』
「ゾクゾクして変な感じがした。今も変だ。危険だ、穂波」
…しらぶくんがおかしくなっちゃった。
わたしの心臓もどきどきが止まらない
『危険?』
「危険な感じがする」
「お兄ちゃん、何してるのー??お化け屋敷ー?」
ばっとバスタオルから頭を出す───
わたしのファーストキスはしらぶくんだったのか。
初々しくて甘い、かわいい記憶。
思い出せてよかった。
そこまで思い出してパチっと目を開けると、
目の前に白布くんの顔がある。
『わ』
「はっ!?」
驚いて後ろにバランスを崩す。
自分ひとりで転ければいいのに、咄嗟に白布くんの服を掴んでしまう。
どすん!
いててて… ちょうど背骨に木の根っこか石か…固いものがあたった。
自業自得だな、ボケっとしすぎなんだよなわたし。
…あれ?首の後ろに白布くんの手がある。
痛めてないかな。大事な白布くんの手。指。
『あっ』
そんなことを考えていて、気付かなかった。
ほんとに間抜けだわたしってやつは。
白布くんの手が、と思って発声するために口を開いてやっと気が付く。
唇が… 唇が重なってしまってる!
「…バカかお前は」
白布くんは唇を離し、わたしの耳元で呟く。
「あの状態で口開いたら止めらんなくなるだろ …止めれたけど」
『だって白布くん、指大丈夫?』
「あ?あぁ、苔かな、柔らかくてなんともない」
『あぁ、よかった』
「…何もしないからさ、ちょっとこのままでいてもいい?」
『へっ?あ、うん。 …いいんだけど』
首の下にある方じゃない手が…
「…ん?」
『ううん、何でもないよ』
「その手、背中に回して …ってうわっ ごめっ」
胸にね、添えられてて…
男の子の条件反射か何か知らないけど、
白布くん、冷静に喋りながらさわさわと小さく揉んでいたんだよね。