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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第28章 しらす


ー白布sideー





鈍い。





鈍いを通り越して、馬鹿なの、こいつ。







「どうせ穂波は東京の子で、
俺のこと好きとかって言ったけどすぐ忘れるんだろうって思ってた」

『………』
(好きな人の話に繋がっていくのかな)

「だから、小さいなりにすぐ忘れようとしたんだよ」

『…ん』

「でも忘れらんなくて。2年後に仙台市の図書館で穂波のこと見かけた。
それから、七夕祭りとか百貨店とか。ちょこちょこ見かけて忘れるどころかって感じで」

『そうだったんだ… 声かけづらかった?』

「…そんなことないけど、ただ俺に勇気とか心構えがなかっただけ」






今日も、次があるならその時でいいやって思ったけど。
どんだけ溜め込んでんだよ俺。ばかばかしい






「俺ずっとお前のことが好きなんだよね」

『…へ』

「彼氏いるみたいだしどうこうするつもりはないけど、
今言わずにいつ言うんだよって状況だし、伝えとく」

『…ん。ありがとう。嬉しい』

「………」

『………』

「ごめん、困らせた」







母屋の灯りはほとんど届かないけれど
月明かりで表情はちゃんと見える






『ううん。困ってなんか、ない。嬉しくて、言葉が続かないだけ』

「…ほんと心配になる」

『…ん?』

「この、天然たらしが」

『えっ』

「告白したやつの横で、彼氏いるくせにそんな顔してそんな言葉言ったら勘違いするやつ出てくる」

『あぁ…でもせっかく想い伝えてくれたのに蔑ろになんてできない』

「でも、俺ら両思いの時が数日だけどあったんだなって今日知った」

『うん。白布くんの持ってる冷たさと熱さみたいなのに惹かれたんだはず』





穂波は胸に手を当てて、目を瞑る。
だから、隙がありすぎだっての。 …襲うぞ






そっと顔を近づける。
手を頬に添えようと動かし触れるか触れないかのところで…






穂波の目が ぱちっ と開く。






『わ!』

「はっ!?」






目を開けたら予想外の距離に俺がいることに驚いたんだろう
穂波はそのまま後ろにひっくり返る。
咄嗟に俺は首の後ろに手を回し、穂波は俺のスウェットの首元を掴む。






ぐいっと下に引っ張られる






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