第28章 しらす
ー穂波sideー
『サーファーではないよ。まだ一緒に海入ったことないの』
研磨くんはどんな人か、か。
「学校は一緒?」
『うん。バレー部のセッターだよ』
「………」
『あまり喋らない』
「…へぇ」
『賢い。冷静』
「………」
『白布くんと一緒だね』
「………」
『小さいころはずっとお兄ちゃんのこと好きだと思ってたんだけど、
そうじゃなかったって結構大きな発見だよ』
「………」
『ねぇ、あの木登ろう』
「…俺高いとこはちょっと無理」
『………』
「なんだよ、なんの沈黙」
『白布くんのこと、まだまだ知らないことばかりだなぁって』
「………」
『じゃあ、あの辺のどこかに座ろう』
おばあちゃんの家で一番大きな木の根元に行って、
ぽこっと膨らんだ根っこに座る。
そばにある切り株椅子にでもどうぞ、と言ったんだけど
白布くんはわたしの隣に来てくれた。
「遊児、絶対探してるよな」
『…あぁ、でもまだ入ってるかも。小学生と一緒にお風呂で遊んでる可能性大』
「あぁ…」
『ここね、薪風呂なんだよ。入ったことある?』
「薪くべて風呂のお湯沸かしてるってこと?」
『そうそう』
「そんなの入ったことない」
『白布くんは言葉で言っても信じなそうだから、体験してほしいな』
「………」
『お湯が違うんだよ、全然。まろやかなの、肌触り?が』
「…ふーん」
『…笑 興味ない、か』
「次の約束それにするわ」
『ん?』
「次会ったら薪風呂はいる」
『…ふふ いいねぇ じゃあまたここまで来ないとね』
「………」
『え、でもそれ一緒にできないじゃん』
「一緒にすればいい」
『………』
「………」
『あ、水着着て?それなら、別にいいのか。 …いやでも開放感がなぁ』
「…笑」
『あ、わたしは外で薪くべて、窓越しに話すのもいいねぇ。何かしら一緒にできそう。
じゃあ、次会う時は薪風呂入っていってね』
「…あの、さ」
『うん』
「俺の好きな子」
『うん』
小学生の頃から好きだっていう、白布くんの一途な恋。
この容姿だけでも、おモテになりそうなのに。
「お前」
『ん?お前…わたし?わたしがどうした?』