第28章 しらす
ー穂波sideー
白布くんとこんな風に再会できて、
おばあちゃん家にも一緒に行けるなんて。
まさかまさかだ。
嬉しいな。
とはいえ白布くんはそんなにみんなと喋るわけでもなさそうだから、
今日はそばにいよう。わたしが誘っちゃったわけだし。
あまり白布くんに迷惑かけないようにしなきゃ。
…って思ってたんだけど
「誰だよこいつ」
車の音が聞こえて来たのか、
玄関で口を尖らせて待ってたのは遊児。
『遊児!お友達の白布くんだよ。
白布くん、従兄弟の遊児です』
遊児は遊児でお猿さんなメンチの切り方をしてるけど、
それはわたしからしたら可愛くって。
でも白布くんのガン飛ばしは、なかなかの迫力。
そっか、確かに昨日の試合でも白布くん、負けず嫌いな感じあったな。
2人がそんな様子だから2人ともバレー部なことも学校の名前も、言わないでおいた。
家に上がってもらって、
もう19時前だからもう宴は始まってる。
『遊児、白布くんにとっては知らない人ばかりの知らない場所なんだから、
そんな態度とっちゃダメだよ。優しいとこ見せてね』
「もうちょっと説明がないと、モヤモヤするし」
『ちょっと待ってね、まず、おばあちゃんに白布くんを紹介してくる』
みんなが集まってる広い部屋に行って、
おばあちゃんに紹介する。
白布くんはお土産を渡して、
そしたらおばあちゃんが仏さんにお供えしておいてくれる?って言ったので、
白布くんと一緒に仏壇のある部屋まで行った。
「…さっき穂波の従兄弟が言ってた研磨って誰?」
あぁ、さっき遊児が言ってたな…
「それはそれで癪だけど、研磨じゃないやつってすげーやだ」
それはそれでっていうのは研磨くんに対しても、
多少は癪に感じてるってことなんだろうか。