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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第28章 しらす


ー穂波sideー






『…じゃあずっとバレーをしてたんだね』






白布くんは自転車のハンドルに魚屋さんの袋を下げて押してくれてる。
マットなグレーのかっこいいロードバイク。







「穂波は?フラダンスもサーフィンも続けてる?部活は?」

『白布くん、ほんとにいろいろ覚えてくれてるんだね。嬉しい。
フラもサーフィンも続けてるよ。あとね、2年前くらいからスケボーもしてる』

「…スケボー。ちょっと興味ある」

『えっほんとに?じゃあ、今度やろう?怪我しない程度に』

「今度って…」

『わたし宮城にはきたいと思えば来れるし…
あ、白鳥沢は勉強難しいって言ってたな。進学するの?』

「あぁ、うん。そのつもりだけど」

『そっか、でもきっとこうして会えたし、また会えるよね』

「…そうだね、会えるといいけど」

『白布くん、どうかした?』

「いや、穂波があまりに変わらなくて、
それから俺に普通に接してくるから今になってちょっと引いてきた」

『………』





がーーーん………






「…ふっ そのがーーーんって顔も前と変わんない。
俺とまた会おうって思ってくれてることを、
穂波が想像するより遥かに俺は嬉しいって思ってる。
それに、引いてる」

『白布くんが笑った』

「…俺を何だと思ってるわけ」

『笑顔がみれるのは嬉しいもん。
おばあちゃん家にある写真では大きな笑顔だった』

「………家、そこだから。ちょっと待ってて」





白布くんは自転車を車庫に入れて、
玄関の鍵を開けて入っていく。

わたしは玄関の前で待たせてもらう。






玄関の扉がゆっくりと開いて、
白布くんのご両親が揃ってみえた。
挨拶をして、なんだか大袈裟に感じてしまうほどお礼を言われて…
くすぐったい心地がした。
小学2年生のころのわたしに向けられたお礼。

おばちゃんの迎えが来るまで、
おうちにお邪魔してお茶をいただく。
立派なお家。品のいいご家族。

お兄さんは東京の大学に通っていて、
弟くんは部活の練習だとのことだった。





「ほんとう、あの日と変わらない。
賢二郎があなたの前ではよく笑うのよね」





白布くんのお母さんがそんなことをおっしゃった。








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