第28章 しらす
ー月島sideー
「…ぅわ」
目を覚ますと穂波さんが隣で眠ってる。
すやすやと寝息を立てて。こっちに身体を向けて。
…馬鹿みたいにかわいい。
掛け布団の上で、何もかけないで寝てるあたり、うたた寝かな。
部屋は寒くはないけど僕のコートをかけるために一度立ち上がる。
『け…くん』
誰の夢みてるの。 彼氏? それとも、僕?
むにゃむにゃ言いながら足がちょっと動くとスカートの裾が少し上に上がって
左脚のふくらはぎが露わになる。
…ゴクリ
横になってたわんだVネックのニットからは見えそうで見えなくて、
いろんなとこがいきなり視界に入ってきて思わず生唾をのむ。
今までTシャツ姿しか見てなかったから、胸元の素肌を見るのは今日初めてで。
鎖骨も綺麗だし… なんかちょっと いやいや理性。
コートを持ってきてそっと身体にかける。
外にいた時はジャケットでわかんなかったけど背中が少し空いてるし、
ベッドの上でこんなふうに無防備にされるといろいろ目に悪いから
首元からコートをかける。
…脚はまぁ、我慢できる。
顔にかかった髪を耳にかけるくらいいいよね。
起きてるときはわりと普通にしちゃうことも、
こんな風にこられると躊躇してしまう。
そっと髪を耳にかける。
ついでに数回、頭を撫でて そっと離す
『…ん もっと』
…はぁ。なにこの人。
つくづく厄介な人を好きになっちゃったものだと思う。
「もっと、なんなわけ」
小さくひとりごちる。
もっと撫でてってことだよな
それくらい…
隣に肘をついて横になり、あいてる手でそっと頭を撫でる。さっきみたいに。
穂波さんは寝たままで気配を察知したのか擦り寄って来て、
わざと開けていたはずの距離が縮まる
猫のように僕の胸元にすりすりと頭を擦り付けてくる。
…しまった。横になったのは完全に見誤った。