第28章 しらす
・・・
「岩ちゃん、あのさ」
「あ?」
「あそこにいる子、見たことある?」
「…知らねぇ」
「だよね、見たことない子だよね」
「その知らねぇじゃねーよ。見たか見てないかもわかんねぇっつーこと」
「岩ちゃん、そんなだからモテないんだよ」
「黙れクソ及川」
「ちらちらと見てるんだけどさ、どっちの応援に来てるのかわからないんだよ」
「へー」
「だからって淡白な感じもしないし。
たまに水筒を取りにこっち向くんだけど、あんま見ない感じの子だよ。
雰囲気がさ、どうにもこうにもヘルシーで色っぽい」
「へー」
「姿勢もすごくいいと思わない?ああやってちょっと崩れた姿勢しても、
綺麗なのは体幹があるからかな」
「…お前すげー見てんな。気持ち悪がられるぞ」
「ちょっと岩ちゃん人聞きの悪いこと言わないでくれる!?」
「いや、思ったままをいっただけだろーが」
「…気になるなぁ〜 話しかけてみようかなぁ〜」
「もう最終セット始まるぞ」
「…そうだね、試合後にでも」
・・・
何がどうって、あげて行くとキリがない。
烏野高校のみんな…すっごかった!!
感動がすごい。
興奮が冷めない。
アドレナリンがすごい。
白鳥沢の選手たちも、みんなみんなすごかった。
男泣きにまた… 胸をぎゅうとされる。
1秒も見逃したくなくってずっとトイレを我慢していた。
ちょっとトイレへ行こう。