第28章 しらす
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1セット目は白鳥沢学園が先取した。
座ってなんて観ていられなくて
客席もまばらで邪魔にはならなそうだったから、
前の通路で手すりに手をかけて立って観戦してる。
2セット目。
赤髪の雰囲気漂う人の、クロさんや蛍くんとはタイプの違うブロックに目がいく。
華やかというか、なんというか。 すごいなぁ…
ここから観てるだけだけど、ブロック自体はなんだろう。
相手の心を折るような感じがある。
でも、前髪のかわいい8番くんとかと牛島さんと話してるときの雰囲気は
決してそういう黒ーい空気はない。気になる人だなぁ。
人間観察が好きというかもはや癖で、
ついついコート外の姿も見てしまう。
蛍くんは、これが公式戦でのいつも通りなのかな。
いつも以上に冷静で一つの目的、イメージに向かって
照準を合わせて行くみたいな、そんな感じがする。
この空気感はすこし研磨くんに似てるな。
情報を取りこぼさずにインプットして、
冷静に目の前の状況を判断していく。
技術的なことはわたしにはわからないけど、
そういう選手各々のその時に纏う雰囲気みたいなのを捉えて行くだけでも、
とても興味深い。
止まる事のないボールを追っていると
いろんな選手に目がいって目まぐるしくも華やかで楽しい。
けど、ボールに触れてない選手が何もしていないわけではなく
いろんな思考でいろんな動きをしてる。位置取りとか…
あぁ、とてもおもしろい。
団体競技にあまり縁がなかった今までだけど、これはハマってしまう。
研磨くんがゲームをする時間を削って、
バレーを続けているのはおもしろさがあるからだろうとは思っていながら
実際のところ詳しくはまだよくわからなかったけど。
なんか、ちょっと、分かった気がした。
何も知らない白鳥沢学園の選手たちを観ているだけでもおもしろいのに、
少し知ってる烏野高校のみんなを観ているだけでもこんなに心が掴まれるのに、
音駒高校の試合、大会での研磨くんのプレーをみたらどうなるんだろう。
そんなことを想像するとすこし怖いくらいに、胸が高鳴る。