第27章 アップルパイ
ー穂波sideー
研磨くんのお家で目覚めるのは2回目。
…あぁ、幸せ。
隣には猫みたいに丸まってる研磨くん。
腕がわたしの上にのっかてる。
起こさないようにゆっくりと布団から出て、
もう一度身体を拭いてから制服を着る。
…研磨くんの家から朝練に一緒に行くとか
今から現実に起こるっていうのにキュンキュンが止まらない
玄関先でクロさんに会ったりして…
3人で一緒に電車に乗るとか …きゃあ。夢みたい
鞄を整えて、ポーチを持って下へ降りる。
顔を洗って、肌を整えてると研磨くんのお母さんが降りてきた。
「あら、穂波ちゃん。おはよう」
『おはようございます』
「ちゃんと寝れた?」
洗面台の場所を譲って、斜め後ろの方から鏡を覗かせてもらう
『ぐっすり眠れました。朝起きちゃうのは癖で…』
「そっかぁ、サーファーは朝が早いのか」
『…ふふ』
「研磨はあの通りだけど… ほんといつもありがとうね」
『…ふふ あのままの研磨くんが大好きです。
こちらこそ、夕飯ご馳走になって、お泊まりまでさせてもらって…』
「いいのいいの、そんなの。
よし!じゃあ、穂波ちゃんも朝食手伝ってくれる?」
『はい、もちろん』
「もうね、下手したら一生娘や孫娘なんてできないって思ってたから。
この家で女の子と台所に立てることが嬉しくて仕方ない 笑」
『そんな、研磨くんは…』
「あはは!いいよ、それは前も聞いたことな気がする。ほんと、ありがとうね。
あ、わたしいま孫娘とか言っちゃったけど、プレッシャーに感じないでね。笑
ごめん、つい口が滑った」
『いやもうそれはわたしにも本望でしかなく…』
「…笑 あーおもしろい。朝から楽しいなぁ、今日の仕事はにやけて終わりそう」
そんな感じでゆるゆると喋りながらパンの朝食を用意して、
研磨くんのお父さんにコーヒーを淹れて。
…お嫁に来たみたい。
「…なんだか、お嫁さんが家にいるみたいだなぁ」
研磨くんのお父さんがそんなこと呟いた