第27章 アップルパイ
ー穂波sideー
研磨くんが髪にオイルを塗ってくれた。
髪を乾かしてくれたり、オイルを塗ってくれたり、
なんだか飼い慣らされているような…
不思議な安心感。 それになんたって、気持ちがいい。
わたしも研磨くんの髪に少しだけオイルを塗った。
今は一緒に寝転がってるんだけど、
時折わたしの髪の毛先や研磨くんの髪の毛先をすんすんしたりしててかわいい。
『研磨くん、今日一緒に過ごせて嬉しい。ありがとう』
「…ん」
『それから17歳の誕生日おめでとう』
「…ん」
『17歳… 出会ったのは15歳。15歳と17歳って何だか全然違う感じする』
「………」
『…はぁー 誕生日って幸せだね』
「…ん」
『………』
「ねぇ、穂波」
『…ん?』
「…なんでもない」
研磨くんの顔の横に肘をついて口付ける。
…なんだか今日は主導権を握りたい気分だ。
啄むように何度も唇を重ねながら、
研磨くんの体に覆い被さる。
「…穂波?」
『…ん?』
「………」
学校で続きはあとでって言ってたのに、
なんだかキョトンとした顔をしてる。かわいい。
なんでこんなに愛おしいんだろう、っていうくらい愛おしい、人。
研磨くんの腕がすーっと頬に伸びてきて、
もう一度口付ける。
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