第27章 アップルパイ
食べてる途中ですっごいいい匂いがしてきた。
「…穂波、この匂いって」
『ふふふ テロです』
「…テロ」
『ケーキの焼ける匂いテロ。特にやっぱりパイは罪が重いです』
「…笑」
普通に言ってのけるけど、結構おかしい言い回し。
この匂いはアップルパイだ。
穂波のアップルパイ食べたいなってずっと思ってた。
テロに合いながらも、無事に美味しくご飯を食べ終えることができた。
穂波は洗い物をしながら、どうもチャイを作ってるっぽい。
椅子に座ったまま、あったかいお茶を飲んでるとスパイスのいい香りがしてくる。
アップルパイとチャイとか、合いそうだな。
『お腹、どんな?先にお風呂入る?』
「あ、いや、今日は泊まってかないから…湯冷めするかな」
『へっ そうか。あっ そうだよね』
「…すっごい迷ったんだけど、制服ないし」
いや正直すっごい泊まっていきたいんだけど、もう今更だし…
「もう、食べれるよ。全部ちょうどいい」
『…ん。いま用意するね …あ、電話』
ソファのとこのテーブルに置きっぱなしの穂波の携帯のバイブがなる。
心さんからの電話らしい。
『え!そうなの。 …うん、わかった。お母さんありがとう〜。うん、おやすみ』
穂波は電話を切ると、ちょっと2階に行ってくるって言って駆け上って行った。
おやすみ、って言ってたな。心さんたちは周平ん家に泊まってくのか。
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『研磨くん、お母さんね、今日研磨くんの家にちょっと寄ったんだって』
「へぇ」
『お兄ちゃんがフランスから送ってくれたもののお裾分けに』
「…へぇ」
ほんとどんどん親交深めてるんだな…
ちょっと謎だけど、でもまぁ、
穂波の家族の感じを思うとそれが普通っていうか。