第27章 アップルパイ
ー穂波sideー
ギャラリーの帰り、駅までの道すがら、
お弁当箱のお店を見つけて、ふら〜っと引きよせられるように入った。
その時は特に何も考えてなかったのだけど、
みている内にうちに置いておく研磨くんのお弁当箱が欲しいなって思った。
お誕生日も近いし、今日は2人でそのお祝いをする日だし、
せっかくなら、手入れをちゃんとすれば長く使えるいいものがいい。
わっぱのコーナーでピンときて、
隣に研磨くんがいるし、どの形がいいか聞いたりして。
でも最終的にはわたしに選んでって言って、研磨くんはわっぱコーナーから離れた。
木目が一つずつ違うから、
特に綺麗だな、と思うのを選んで、それから箸も買うことにした。
胡桃の木の箸。
箸袋とか付属品的なものは、作ろうかな。
さっきの展示会で、研磨くんは種を使ったアクセサリーをみてる時、
すごくワクワクした顔をしてた。
身につけてるイメージが湧かなかったけど、
ピアスを買って要らない部品を外せば手芸のパーツになるかなぁと思って
友達にあげる分のほかに2種類購入しておいた。
だから箸袋の紐の先っぽとかに付けようかなぁ、とか。
妄想が膨らんでいく。
お会計を済ませてから、研磨くんのところへ行ってお店を出た。
もう少しで日が沈む。
さっき研磨くんが言ってたみたいに、日が長くなったり短くなったり…
そういうことを、これからも一緒に隣で感じていたいなぁと思う。
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お腹すいたね、なんて言いながら家に帰る。
今日はお母さんたちは、誕生祝いなんだもん、2人きりにしてあげる♡と言って、
お店を閉めてから周平の家に行くことにしたらしい。
別にそもそもあまり気を使うような親じゃないし、
研磨くんも親がいても気楽にいてくれるけど、
それでもやっぱり心置きなくリビングでもどこでもくっついていられるのは嬉しいから、
ありがとう〜!って思う。
そんなわけで、今日は2人きり。
嬉しいな。