第5章 夏
研磨くんは顔をこちらに向け、
わたしの頭に手を伸ばす。
引き込まれるようにわたしは研磨くんの脚の間、
すこし空いている椅子の部分に片膝をついて口付けをする。
長ーーーく濃ゆいキスを一度。
夜風が気持ちいい。
「…もっと触ってたい。…でも穂波のご飯食べたい」
『…ふふ。すぐ食べれるようにするね。あ、バジルありがとう。入ろっか』
「…ん。ちょっとまってもう少しだけ。」
そう言って研磨くんはもう一度わたしを抱き寄せ、顔を埋めた。
「…ん。入ろ。」
『…ん』
研磨くんはソファに座ってやっぱり天井のファンを見てる。
なんか見ちゃうの、わかるわかる。けど研磨くんがしてると、とてもかわいい…
鍋にたっぷりの水と多めの塩を入れて火にかける。
ベビーリーフはさっと洗って水気を切って冷蔵庫に入れておく。
小鍋でキヌアを炊いて、ザルにあげておく。
お湯が沸いたらパスタを湯がく。
フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて火にかける。
ベーコンを入れて炒め、パスタを湯がいてるお湯をお玉で掬ってフライパンに入れ、油と乳化させる。
小皿にリーフとキヌア、作り置きの人参マリネをのせて簡単サラダ。
先ほどのフライパンに大きなトマトを三つ、ざっくりと切ったものを入れ、湯を切ったパスタと一緒に絡める。
火を止めてバジルを入れ、もう一混ぜして完成。
『研磨くんできたよ』
パルメザンチーズと黒胡椒、チリオイルを机に置きながら研磨くんを呼んだ。
「…ん、いい匂い」
小さく呟いて研磨くんは立ち上がる。
「うわぁ、赤と透明だ」
『ふふ…せっかくフレッシュトマトがたっぷりあったから、透明で赤いっぱい。
チーズとかは好きにかけてね』
「…ん。いただきます。………美味しい」
研磨くんの美味しいの言葉は魔法だ。
顔が綻んじゃって、
こころがふわふわしてしまう。
今日も美味しいって言ってもらえて嬉しい。