第27章 アップルパイ
シートの上に寝転がってごろごろする。
おれはゲームしてて、穂波は多分空とか葉っぱとか見てる。
「ねぇ、穂波」
『んー?』
「おれさ、穂波といろんなとこ行きたい」
『へ?』
いきなり話題を振ったからキョトンとした顔してる。
「ちょこちょこ穂波が言ってるでしょ、あと葉書にも書いてた」
『…あ、うん』
「おれは穂波みたいにいろんなとこ行ってないからちょっと違うけど、
穂波が行きたいって場所に一緒に行ったりとか、したいなって思う」
『うん、わたしも一緒だから嬉しい』
「だけど、こうやって穂波つくるご飯の素材が変わってくのとか、
こうやって葉っぱの色が変わってくの一緒に見たりとか、
そういうのを重ねていくのもすごいいいなって思う」
『………』
「なんか夏さ、去年したことしたり、食べたもの食べたり、
あともうすぐ誕生日なんだなとか思ったら、去年のこと思い出して…
そういうこと最近たまに考えてて、なんとなく言おうと思っただけなんだけど」
『うん。嬉しい。ありがとう』
「…ん」
別にわざわざ言うことでもないんだけど…
『ねぇ、研磨くん』
「…ん?」
『前BBQの時、将来の家のイメージがなくなはない、みたいなこと言ってたでしょ?
あれって今聞いてもいいの?』
「…あ、それはちょっと流石に なんか ふわふわしすぎてて言えない」
『そっか でもわたし、ゲーム部屋は絶対あったらいいなって思う。
どんな部屋かよくわからないけど、きっとわくわくするんだろうなぁって』
「あぁ、うん。スクリーンがあってスピーカーがあって、いろんなゲーム置けて。
照明もゲームしやすい感じに設置して… いいだろうなって思う」
『…ふふ』
「…穂波が」
『………』
「穂波が料理してるとこ見るのが好きだから、
カウンターキッチンかオープンキッチンがいいなって想像した」
『………』
「あ、ごめん。なんでもない」
…いやおれすごいはっきり言っちゃったし。
今更撤回のしようがない。またやっちゃった。
ふわふわしたことベラベラと喋ってしまった。