第26章 手のひら
ー穂波sideー
烏野高校がすごい!
夏の初めの合宿から今までで全然違う!
一昨日からそれは感じてたけど
今日で最後かぁ、なんて思いながら練習を見ていると本当に進化していて
それに改めて気付いた時、ぞわっとした。
何がすごいって、一人の変化じゃないのがすごいなぁと思う。
みんなが揃ってなんか、すごい。
素人目にもわかる変化をするものだから、面白いチームだなぁって。
その中にいる大地さん、力くんのどっしり感とか
蛍くんのなんだろ、淡々とした感じがまた箔をつけるというか。
おもしろいチーム…
月末の代表決定戦最終日、みれるといいなぁ。
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あっという間に昼食準備の時間。
みんなに振る舞うのは最後かぁとか思いながら、
とくに気負わず、いつも通りに作業する。
カオマンガイ、鶏出汁のニラ玉スープ、ヤムウンセン、
海老とセロリのナンプラー炒め、空芯菜炒め。
タイのお店を思い出して、
カオマンガイは合宿に向いてるかも…って思って作ろうと思った。
副産物に鶏出汁もついてくるし、暑い国でもさっと食べやすいこれは、
部活後の、研磨くんや蛍くんみたいな胃の人でも(?)食べやすいかなって。
翔陽くんとかはいつでもなんでも食べれそうだけど…
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「穂波さん、お疲れさま」
『蛍くん、最終日お疲れさま』
「…なんか異国情緒あるね、でも食べやすそう」
『うん、食べやすいのを作ったつもり。蛍くんのこと考えて献立たてた』
「…ふーん それはどうも」
『このくらいでいい?』
「うん、またバス見送り来てくれる?」
見送り来てくれる? だって。 か、かわいい、蛍くん。
『来ないでって言われても行く。もちろん行く』
「うん、じゃあまた後で。…穂波さん、好きです」
耳元まで腰をかがめて小さな声で言って去っていく。
蛍くんはほんとにかわいいけど、かわいくない。
「わ!穂波ちゃんどうした?顔真っ赤だよ」
『あっ菅原さん、どうもしてないよ!
激辛マーボーは流石に作れなかったけど、これどれも唐辛子合うから、
そこにあるチリフレーク乗せたらいいかも』
「それいいね〜 まずはこのまま食べて、それから辛くすんね!いただきまーす」