第1章 出会い
放課後。部活前。
いつものように携帯でゲームをしながら
クロを待っていたら、
穂波さんが駆け足でやってきた。
通学バッグの他に、少し大きな鞄持ってる。
『研磨くん!』
「…穂波さんは、もう帰る?」
『うん、今日はフラのレッスンがあるの。
今朝、話しかけてくれて、
生物室への行き来の移動も、一緒にできて嬉しかった。
今日も部活頑張ってね!
研磨くん、また明日ね!』
「あ、うん…おれも。
…穂波さんも、レッスン…いってらっしゃい。
…またね」
笑顔で手を振って風のように、教室を出て行く。
なんども思う。やっぱり綺麗。
花みたいな、蝶々みたいな、太陽みたいな、風みたいな。
おれって、そんな自然を綺麗とか好きとか特別思ったことないのに、
穂波さんをみると、そうやって、綺麗につながるイメージが全部、自然って呼ばれるものなんだ。
不思議だけど、一つも不思議じゃない、この感じ。
少しまたゲームをいじってたら、
「研磨ー!部活行くぞぉー」
クロが来た。
クロ「今日はあの子いないのかぁ〜
部活やってるのかねー?」
…なんだろ、あんま穂波さんのこと答えたくない。
研磨「…部活、やってないって。」
クロ「へぇ、マネになってくれたらいいのになぁ〜」
研磨「…別に。…」
クロ「じゃあ、今日はもう帰っちゃったのかァ
研磨と話してたら、俺も挨拶しようと思ってたんだけど。
デートかねぇ、彼氏いるのかねェ」
研磨「……なんの挨拶?」
クロ「えぇ?研磨のことをよろ…って、
おい、早足で先に行くなよー!」
…彼氏か。考えてなかった。
いるのかな。すてきな子だもんな。
なんか、ちょっとズキっとするな。
…でも、関係ないかな。
どうこうしかたかったわけじゃないし、
ただこのまま、関わっていければ、嬉しいや。
…うん。