第1章 出会い
昨日の放課後のすこしの会話と、
今朝の会話すこし。
みんなにとってはきっとすごく些細でも
クロやバレー部の何人かとしか話さなかったおれにはすごく大きな変化だ。
おれはひとと関わるのが苦手だ。
ひととなるべく関わらないように、目立たないように。
ついつい周りが気になって観察してしまう。
それにしても、穂波さんの、
動き一つひとつ、髪色とか肌色とか、体型とか、
接点を持って初めて気付いたけど、
“やっぱり”綺麗だ って思ってるんだよね。
そんなに、そんなふうにみてたのかな。
知らないうちから目で追っていたのかもしれない。
接点なんて何一つないとおもってたから、考えないようにしていただけで。
四限は生物室に移動しての授業。
持っていくもの机に出してたら、
穂波さんがやってきた。
『研磨くん、生物室まで一緒に行こう?』
遠くから見てると背が高く見えるけど、
おれより少し低い。
クロみたいに大きな背の差がなくっても見上げられるのはかわいいんだな。。。
「…うん。いこ。」
移動教室、誰かと一緒に行くなんて初めてだ。
なんか、ちょっとドキドキする。
でもなんだろ、ドキドキするのに安心する。