第26章 手のひら
ー穂波sideー
「ぶっ… ゲホッ …ゴホゴホッ………」
影山くんの突拍子もない表現に、
隣にいる研磨くんがお茶を吹き出し、むせてる。
話しかけても辛いだろうし、
肩に手を添え、片方の手で背中をとんとんとする。
「……ゴホッ… …ん もぉ………だいじょぶ…」
『…ん』
でもまだ、ちょっと名残があるしそのまま背中をさすっとく。
触ってたいし。
「…孤爪さんは今、気持ちいいんすか?」
「は?」
『…んと』
「…今はまだちょっと苦しいけど。 …でも言ってる意味はわかるよ」
「そーっすよね、気持ちいいっすよね」
「…でもおれは穂波だけ」
「…はぁ」
「影山がどうかはわかんないけど… なに、それをずっと考え込んでたの?」
「まぁ、そうっす」
「多分穂波の補助は気持ちいいと思うよみんな。
で、穂波に触ってて気持ちいいのは、ちょっともうやめて欲しいかな」
「…あぁ、そうっすね。すんません」
「いや、別にいいんだけど。意図してるやったわけじゃないし。
でもごめん、それ聞いたらちょっともう。 …あ、別に穂波にしてもらうのはいいよ。
穂波もそれは、やりたいことだし…」
「…ぅす」
なにも言えずにいると、翔陽くんが戻ってきて…
仁花ちゃんも戻ってきて、お茶をもう一杯ずつ飲んでから部屋に戻ることに。
仁花ちゃんには先に行ってもらって、
研磨くんと2人で1年6組教室に行った。…懐かしいなぁ
「影山のあれは、何なんだろう」
『あ、研磨くん、ごめんね。嫌な気持ちになったかな』
「え、全然。おれ怒ってるみたいだった?」
『ううん、冷静で優しかったよ。いつもの研磨くんだった』
「ただ普通に、穂波の身体触って気持ちいいとか言ってるやつに
はいどうぞ、とはできないだけ。 する必要があるわけじゃないし」
『…ん』
「…でも、なんか突拍子もないね、あいつ」
『ね、なんか、すごい子だよね、いろいろ』
「うん。 まぁ、いいや。 穂波、銭湯行くでしょ?ついてく」
『いいの?ありがとう』
研磨くん、眠そうだけど…
お言葉に甘えてしまおう。
…だって、一緒に歩きたい。