第26章 手のひら
ー研磨sideー
午後の練習も終わった。
やっぱりクロたちは自主練してる。
翔陽は、前の合宿の時よりまた新しくなってる。
アップデートが早い。
合宿では何度も試合できるけど、
翔陽と公式戦でやってみたいなって最近思う。
…だから、おれもおれなりに、
レベル上げしていこうとか、思ったり。
思わなかったり… まぁまずは代表決定戦までいかないと。
だからって自主練とかするわけはなくって、
自主練に残るクロたちをよそに夕飯を食べに行く。
…今日のご飯、なんだろ。
「研磨、去年うちで合宿した時こんな風にすぐメシ食いに来てたっけ?」
「…いや、まずゲームしに教室行ってたような」
後ろから追いついてきた夜久くんと虎が何か言ってる。
「ま、理由なんて考えなくてもわかるけどな」
「これがクロさんのいうわくわく顔っすかね」
「…ちょっと虎、やめてよ。そんな顔してない」
「あーそうだな、きっとそれだ」
「………」
「やっべー超いい匂いする。ハンバーグじゃね?」
・
・
・
そのまま夜久くんたちと一緒のテーブルで食べた
煮込みハンバーグ、フライドポテト、カリフラワーとツナのサラダ、人参のマリネ、
ほうれん草と舞茸のバター炒め、ナスとベーコンの味噌汁、ごはん。
「…おいし」
山本「ここ来る前がわくわく顔なら、この食べてる時の顔はなに顔なんすかね」
夜久「…幸せ顔?」
海「…幸福顔?」
「…一緒だしどっちも。 …ていうかみんなして何? 昼も言われたし…
そもそもおれだけじゃないし。みんなも美味しいなって顔してるじゃん」
福永「…腹の顔つっれば目の皮弛む」
「………」
夜久「何?福永、それどういう意味?」
海「腹が膨れると眠くなるって意味だろ」
夜久「あー。 いや福永、別に研磨、眠そうな顔してるわけじゃなねーし。
まぁいつも眠そうっちゃ眠そうだけども」
…また、話が逸れていく。
まぁ、そのおかげでおれは関係ない話になっていくからいいんだけど。
美味しいものは美味しい。
ただそれだけ。