第26章 手のひら
ー研磨sideー
昼食。
「研磨ー!一緒に食べようぜ!」
翔陽がおれのいるとこにくる。
ぞろぞろと犬岡とリエーフがついてくる。
…合宿になると大体この3人の誰かが周りにいるのは何。
「うひゃー!牛丼、うまそー!」
牛丼、紫キャベツとセロリのサラダ、かぼちゃのそぼろ煮、
人参と油揚げのきんぴら、しめじと小松菜の味噌汁、りんご。
「…うま」
わかっちゃいるけど、いつも美味しい。
牛丼には生姜がいっぱい入ってる味がする。
「なぁ、研磨。合宿以外でも穂波ちゃんにご飯作ってもらったりすんの?」
「え、あぁ、うん」
「研磨、森然の食堂で食べる時と、音駒で食べる時、顔全然違うよな。量も」
「…顔? いや、顔は別に違わない」
…そりゃ、作った人が違うから味も気分も違うけど。
「いーや、顔、全然違うからな!」
「…やめて翔陽、それ疲れる」
犬岡「何が一番うまかったですか?穂波さんのごはん」
「…一番?」
………え、ちょっと待って選べないし。
南蛮漬け… ひじきが入った炊き込みご飯、筍ご飯も美味しかったし。
でもクリスマスに食べた鶏の煮込みも… パスタもオムライスも美味しい。
サンドイッチも美味しかったし、稲荷寿司… あ、弁当の…
犬岡「…あ、研磨さ………」
「…ちょっと、待って。 …一番とか決めれないし。 主菜、汁物、副菜、ご飯もの…
和食、洋食、アジア…とかジャンルで分けるとか。
せめて、朝か昼か夜か… あ、朝昼ご飯もあるし… 弁当は弁当で別だし………」
犬岡「…研磨さん、すみません。 …そーですよね、決めらんないっすよね…」
(本気で頭抱えて悩んでる… 悪いことしちゃった。 …でも、研磨さんかわいい)
灰羽「一番が選べないなんてなんか、ずるいっすねー あーいいなー
俺も穂波ちゃんと2人でご飯したいなー」
日向「何言ってんだよリエーフ!穂波ちゃんは研磨の彼女だぞ!」
灰羽「それはそうなんだけど、好きになったら仕方ないんだよー 翔陽はまだ子供だなぁ」
日向「なんだとリエーフ!…でもまぁ、おれはまだ………」
…どんどん話が変わってくし。
ほんとよくそんな元気にずっと喋れるな、と思う。