第26章 手のひら
『…へ? わたしが? 何をするの?』
「えっ!ダンスですよ。俺みてみたいなーって思って」
『あ、そっかぁ、ダンス。去年周平が踊らないのー?って言ってたな…
あんまりステージで踊るのとか興味なくって… でも、ちょっとイメージしてみる。
犬岡くんが見たいと思ってくれるなら、うん!』
見てもらうため、はやっぱりしっくりこないけど、
合宿を抜けたりしてまでダンスをしたりしてるわけだし、
みんなのことを想って踊るのはいいかもなぁ…
経験値アップ…
・
・
・
「おはざっす!」
烏野高校も到着して、
体育館にみんなが集まり出した頃、
影山くんが声をかけてくれる。
『あ、影山くん。おはよう。移動お疲れさま』
「…ぅす。 あの、今日もストレッチ一緒にやってもらえませんか?」
『へ?あ、うん、もちろん。ペアでする?』
「あー… じゃあ、今日はそうっすね、ペアでお願いします」
『はーい。すぐそっち行くね』
クロさんや直井さんに一言伝えて影山くんのところへ行く。
翔陽くんや夕くんと軽く話したりしながら、
みんなより少し早くストレッチを始める。
影山くんがわたしとストレッチをするメリットは何なんだろう。
身体の伸ばし方ももともと上手だったし、
少し指摘をしたとこはあったけどそれももう改善されてる。
わたしにとっては、クセとか思考とかもわかるとこがあったりして普通に興味深いし、
その上こんな綺麗な指を近くで見れたり触れたりできたりして、
メリットしかないんだけど…
「…すげーいいんすよね」
『…ん?』
影山くんの内腿を片手で押さえながら、
もう片方を肩に添えて脇腹を伸ばす
…今してるのはごく普通のストレッチだ。ペアなだけで。
「伸ばしてるとこはもちろんなんすけど… なんなんすかね」
『伸ばした後も気持ちいいよね、ペアでやると想像以上に気持ちよく伸びるというか』
「…それもそうなんすけど」
『うん』
「今、穂波さんが触ってるじゃないっすか、俺に」
『あ、うん』
「それが、気持ちいいんすよね」
『………』