第25章 秋刀魚
ー穂波sideー
心の中であーおもしろいなぁ、
なんてやっぱり思っちゃってたんだけど
研磨くんが帯を引っ張り出したら、なんだかドキドキしてきてしまった。
回ることで脳の中で何かが出たのかもしれないけど、
それ以上に研磨くんがやっぱり初めてでも完璧な感じで引いていくことにきゃあああとなって、
それから最後にくるんってされてよろめいた先に研磨くんがいた。
とどめを刺された感じ。
研磨くんの腕の中で、黙り込んでしまう。
…かっこよかった
「…大丈夫?」
『…へ? あ、うん。 大丈夫だよ。 なんかドキドキしちゃって』
「…?」
『………』
「こういうのなかったらもうぺろんなのに」
『…笑』
研磨くんは伊達締めを片手で解きながら呟く。
ぺろんって…笑
ベルトも腰紐も、半襦袢に巻いた腰紐も、
研磨くんはわたしのことを抱きしめながら、器用に外していった。
「…やった。 脱がせた」
ゲームをクリアしたみたいな感じで言う。
…かわいい
背中の方に回って、浴衣を丁寧に脱がせてくれる。
「…着るの見てるときも思ったけど、この白いのエロい」
『へっ』
着付けるのみながら、研磨くんそんなこと考えてたんだ
先程の情事で下着は脱がされてるので半襦袢だけを羽織っている姿になってる
確かに生地が薄くて、肌の色が透けてはいるけど…
そんなこと考えたこともなかった
「水かけたくなる」
『へっ』
「…笑 へっ しか言ってない 笑」
『………』
「またやらせてね。この紐で手首とか縛ってみたい」
『………』
…まさかの研磨くん、和装好き?
『研磨くん、和装好きなの?』
「…そうなのかもね」
『………』
「穂波の和装が、好き。いつもとちょっと違うからゾクゾクする」
『…ん』
「お風呂入ろっか。 おれの、脱がせて」
研磨くんの浴衣の帯を解いて、脱がせる。
確かに、浴衣を脱がせるのは唆られるなぁ…
この、最後が至極簡単なのがいい。
背中に回って、腕を抜いて仕舞えば、はらり。
「…何考えてるの?」
『へっ』
「…笑」