第25章 秋刀魚

ー研磨sideー






洗面台の鏡に映る穂波の表情をみてるだけで満たされるものがある



…いや、まだ繋がったままだし、
乱れた浴衣とか、いつもより大きな喘ぎ声とか、
いろんな要素に満たしてもらったわけで、
表情だけ、というのはおかしいかもしれないけど。



でも行為が終わった後のこの、表情には、
自己満じゃない達成感みたいな。
あとは愛おしさとか、まぁ色々。
そんなのが溢れてくる感じ。






そっと引き抜いて、穂波の身体をこっちに向くように回す。







頬に手を添えると
穂波の腕が首に巻きついてくる







一度、ねっとりと長いキスをして、ゆっくりと唇を離す。
やっぱもう少し。　軽く２回口付ける。








『…研磨くんの浴衣、もっとはだけさせたかったな』

「…笑　欲張り。　穂波のエッチ」

『今度は前向きでしようね』

「…え、　あ、うん？」

『…ふふ』






そういうことってそんな天真爛漫に言うことなのかな…
言ってることと、その言い方がちぐはぐで答えるのに戸惑ってしまう







「…じゃあ、浴衣脱がせる」

『…あ、ほんとにするの？笑』

「うん。ここでできる？」

『うーん、できるけどなんか怖いから廊下でする？』

「え、廊下で？」

『もしわたしがすっ転んでも、廊下なら…』

「…そっか、いやでも」





万が一、シゲさんとかトイレに降りてきたら。






『あ、お父さんたちの部屋にはトイレあるんだよ。ずるいでしょ　笑』

「え、あ、そうなんだ。　…んー、でも」

『のっぽなお猿さんもいるもんね。きっと大丈夫。研磨くんは上手にしてくれそう』

「…誰かとしたことあるの？」

『…遊児に何度もされてる。着付けの練習もしたりしたから』

「………」

『帯だけね。帯の下にも色々巻いてるから、いきなりはらーんとはならないよ』





…びっくりした。よかった。
そういえば着る時何回か紐、巻いてたな。





「どうやってやるの？」

『へ？知らないよぉ　笑
わたしは塩梅を見て踏ん張るから、研磨くんも適当にやってみて？
…あはは　笑　ちょっと待って…』






穂波がクスクスと小さく肩を震わせて笑ってる







「…？」