第25章 秋刀魚
ツトムくんが、できる範囲でそれぞれの家の近くまで送ってくれた。
浴衣は洗って返します!って言われて
洗うのもやるからいいよって言いたいとこだけど
無理に引っ剥がすこともできないからそのまま着て帰ってもらった。
お母さん方に申し訳ない…
「…ふ 笑」
『…?』
わたしとカズくんと研磨くんは3人で並んで座ってる。
カズくんはわたしの手をギュッと握りながら
わたしの身体にもたれて眠ってる。 …かわいい。
「洗濯させちゃって家の人にごめんなさい、とか思ってるでしょ」
『………』
「…ふ 笑」
まったくもってその通りなわけで。
カズくんを家の前で見送って、ツトムくんも一緒に家に帰る。
ツトムくんはお兄ちゃんの部屋で寝て、
明日はお父さんの撮影に着いていくみたい。
朝早いし、運転もしてもらったし先にシャワーを浴びてもらう。
研磨くんと部屋で麦茶を飲みながら、ぼんやりすごす。
「穂波、浴衣脱がせたい」
『………』
「くるくるーってほんとになるの?」
『…笑』
研磨くんにもそういう情報があるんだ。 …時代劇?
前に遊児にされたことがある。
一度じゃない。小さな頃から、何度か。
力の入れ方、引っ張る角度、わたしの踏ん張り具合ですてんと転ぶこともあれば、
ほんとにあ〜れ〜ってなることもできる。
「ねぇ、やってみてもいい?」
『…笑』
かわいい。 反則。
『…いいけど、わたしもしてみたいことがあるの』
「…なに?」
『研磨くんが浴衣着たままで、シたい』
「………」
『…だめ?』
「だめじゃ、ないけど… そんな理由でおれに浴衣着せたの?」
『えっ…』
「やらしー」
『違うよ 違うもん。 でも実際着てるのみたら、色っぽくって…』
「………」
『だって、捲ればもうできるんだもん』
「…やらしー。 色好み。 淫乱」
『…! いんらっ… …うう でも否めない』
「…笑」
『…だって、想像しちゃったのは本当だし。 …でも、さ?』
「…ん?」
『研磨くんがいけないんだよ』
「え」
『研磨くんが色っぽすぎるんだもん。りんご飴舐めてるだけでもエッチ』
「………」