第25章 秋刀魚
『ううん、嬉しい!犬岡くんにそんな風に言われたら嬉しい!』
「あーよかったぁ やっといつもの笑顔がみれたぁ」
『じゃあ、わたしも』
「え?」
『犬岡くんはかわいい弟みたい。
…でもすごく安心感があって、頼り甲斐があって、犬岡くんの言う通り、
わたしは犬岡くんのお兄さんっぽさを感じることがいっぱいある。
なのに!やっぱりかわいい弟っぽくて、真っ直ぐで、まっすぐで、心地よくって。
話してて安心する。落ち着く。その真っ直ぐさに心が救われる。
すっごく魅力的な子だなって思ってる。 本当にいつもありがとう。
…って、なんかまとまりないなー やっぱわたしの方がずっと子供っぽいね。
犬岡くんはちゃあんとしめるとことはしめるっていうか。やっぱお兄さんだよね』
「………」
「ねぇ、ちょっと。 いつまでそうしてるの」
ちょっとムスッとしたカズくんの声がする。
まだぎゅってしてもらった距離感のまま少しだけ身体を離して、
お互いの目を見ながら話してた。
『…ふふ。 犬岡くん、ありがとう。
しょうもないことで泣いてるのに、こんなに優しくしてくれて』
「いやいや、しょうもなくなんかないよ。想像して悲しくなってるとか可愛すぎるし…」
『…ほんと優しい。ありがとう』
「いや、もういいって、ありがとうは!あ、浴衣とか髪とか俺のせいで崩れちゃってない?」
『あ、うん、きっと大丈夫。 …どう?大丈夫そう?』
袖をもって、肘を曲げて手を上に軽くあげて
くるくるーっとゆっくり回ってみてもらう
「…かっ かわいいっす」
『…ありがとう。 …ってそうじゃなくって、変なとこない?』
「あ、うん、多分。大丈夫なんじゃない?」
「ちょっとぉー!犬岡くーん、ちょっとイチャイチャしすぎじゃなーい?」
「黒尾さん!そんなイチャイチャなんてしてないっす」
「してますーーー! 穂波ちゃん、俺の前でもくるくるしてー♡」
「…ちょっとクロ、調子に乗らないで」
あー何でこんなにみんなみんな愛おしいんだろう!
花火も綺麗だったし、
BBQも楽しかったし、
研磨くんの浴衣姿を拝めたし…良い一日だったぁ