第25章 秋刀魚
ー穂波sideー
「穂波が先に着て」
なんでかわからないけど、
先に着るように促されて研磨くんが選んでくれた浴衣に着替えてから
研磨くんに浴衣を着せる。
男性の着付けは女性のに比べてずっと簡単。
研磨くんにはグレー地に白と黒の絣のはいった浴衣と燕脂色をの帯を選んだ。
「…なんか、すーすーする」
『…ふふ、そうだよね、すーすーするよね』
「でも案外ラクかも。女の人みたいにはんなりしなくていいし」
『うん、そうだね。…研磨くん、かっこいい』
「………」
似合う似合う似合う!早く一緒に歩きたいよぅ
「穂波、ススキの浴衣も似合う。…綺麗」
『…ん。ありがとう』
それからカズくんにも浴衣を着せて、
リエーフくん達も着たいと言ってくれたので勝手に見繕ろったものを着てもらった。
カズくんは紺地に白い絣、リエーフくんは薄鼠色、
犬岡くんはえんじ色、福永くんは濃緑に細い紺の縦縞。
ツトムくんは黒地に燕脂の帯。
…みんなとてもいい。とても、色っぽい!
いい時間になったので、ツトムくんに車を出してもらって◇◇川の方へいく。
途中周平の家によってクロさんたちも合流。
ツトムくんの知人の方の事務所の屋上には
テーブルやアウトドアチェアがあってゆーっくりできる感じ。
ツトム「オードブル的なの買ってくりゃよかったね」
『…でも、せっかくお祭りだし。たこ焼きとか食べよう』
研磨「…ふ 笑」
『………』
研磨「穂波ってほんと意外なほどたこ焼き好きだよね」
『…意外かはわかんないけど、うん。すき』
研磨「…買いに行く?」
『うん!』
研磨くんと2人で下に降りて、
河川敷沿いに並んだ屋台の通りを腕を組んで、その手を繋いで歩く。
…幸せ
りんご飴はまだいい、って言ってた。
だからたこ焼きを1パック買って、
河川敷の空いてるとこにちょこんと並んで座る。
『…研磨くんとたこ焼き食べるの3回目』
「…だね。美味しい?」
『うん。研磨くんもどうぞ』