第25章 秋刀魚
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カズマが天丼を食べたいって言って、
みんなもそれに盛りがって、
帰りに商店街の魚屋で海老と魚を買って昼は天丼になった。
海老、キス、茄子、いんげん、大葉の天ぷら。
モロヘイヤおひたし、ぬか漬け、わかめと豆腐の味噌汁。
福永と穂波が作ってくれた。…美味しい。
穂波と福永の組み合わせ、おれ好き。
なんか、いい。
昨日、どこかの体験施設?みたいなとこに一緒に行く約束したって言ってた。
真っ暗闇で睨めっこするんだって。
よくわかんないけど、穂波はすごく嬉しそうだった。
『研磨くん、浴衣着てくれる?』
「あ、うん。約束したし。穂波も着るんでしょ?』
『うん。研磨くんわたしの選んでくれる?』
「…え。 あ、うん。選ぶ」
入ったことなかった和室に案内されて、そこで浴衣を選んだ。
心さんは意外と言っては失礼かもしれないけど、t
着付けと琴の師範の資格を持ってるらしい。
育った家が家だから、やっぱり和室もあるし和服もいろいろ揃ってるみたい。
みんなの分もできたらいいな…とか言って、犬岡たちの分も選んでた。
おれのはもう穂波曰く、妄想済で、部屋に入った時には帯と一緒にもう置いてあった。
何着か秋の浴衣を穂波が出した中から選ぶ。
どれも似合うだろうしどれも見てみたいな、と思って結構迷う。
赤っぽいのもいいし、青っぽいのもいい。
秋の花のいろんな柄があるんだけど…
「これにする。すすき?」
『うん、ススキ。…わー嬉しいな。大好きな人に浴衣選んでもらうなんて』
「………」
…大好きってもう何度も言ってくれてるけど、
大好きな人って言われるとなんか …照れるし。
浴衣はきな粉みたいな色のベージュに青く細くススキが全体に描かれてるやつ。
帯も一緒に選んだ。正直よくわかんないけど黒地に白くて細い横縞が数本と、
えんじ色の太めの横縞が真ん中に入ったやつ。
落ち着いた感じがして、きっとかわいいし綺麗だし、
それからすごく色っぽいと思う。楽しみ。