第25章 秋刀魚
「おさめろって… なにそれ呪言?」
「それしかないからそう言っただけ」
『…わたし、顔洗ってくる』
ここは落ち着いてこの場を離れよう。
カズくんももう、朝の生理現象が起きる歳なんだな…
「…穂波、なんか羽織っていったら?」
『…へ?』
「それか、ちゃんとつけるか」
『あっ、そうだね。誰かに会うかもだもんね』
全然ボケっとしてるじゃん、わたし。
薄手のショール胸を隠すようにかけて下に降りる。
下着は、脱衣所でつけよう。
…わー、かっこいいとはいえ、
かわいいというか小さな男の子ってイメージの拭えない子が
男の人になっていくってなんかすごいなー
ちょっと感慨深いし、よくわかんない。
これが子育てになったらどうなっちゃうの、未知すぎる。
私は対応を変えるべきなの?
このままでいいの?初めてすぎてよくわかんないー
歳の離れた弟とか妹がいるってこんな感じかな。
犬岡くんとか、下の妹とし離れてるって言ってたな。
翔陽くんも。 えー どうしよう、なんか今になってドキドキしてきた。
「穂波ちゃんおはよー!」
『わ、夜久さんおはよう』
「前一緒に、朝メシ作ったの楽しかったから、やりたいな〜とか思って」
『ほんと?嬉しい。リエーフくんからのお土産もあるからパンにしようかなって。
みんなパンでもいいかなぁ? どうかなぁ?』
「泊まらせてもらって朝飯作ってもらって文句言う奴なんていねーと思うよ」
『…ふふ。うん。ロシアのパン、楽しみ。 …じゃあ夜久さんのいい時にキッチンにきてね。
わたしも顔洗ったりしてから行く』
「おー、じゃあすぐにまた」
前に夜久さんと台所に立ったのも楽しかった。
なんだろう、興味津々な感じがわくわくした。
研磨くんも福永くんも仁花ちゃんもみんな違う。
みんなそれぞれの感じがあって、とても楽しい。
一緒に台所に立つのって、やっぱいいなぁーと思う。