第25章 秋刀魚
ー穂波sideー
『…んっ ……!?』
目が覚めると、研磨くんに後ろから抱きしめられてる。
腰に手を回され、脚はわたしの脚に乗ってる。
…そして前にはカズくんが密着してる。
前から… 胸に顔を埋めるようにというか、片手も胸に添えられていて。
2人ともすーすーと寝息を立ててるけど…
どうしようこの状態。
『…んッ あ…ちょっと……』
カズくんの手が胸の上で動く。
「………んー、穂波。すき」
『へっ カズくん、起きてる?』
「…ん、いまの可愛い声で目が覚めた」
『かっ カズくん、からかっちゃダメ』
「…からかってないからいい」
『…〜〜。 カズくん、ちょっとなんというか…』
「…一緒の布団で寝ていいっていうからこうなったの」
昨日、おれもベッドで寝たいって言うので、
いいよーなんて言って3人で寝たわけだけど。
…昨日男の子扱いしないようにって思ったのに、
やっぱクセみたいなのはあるなぁ。気をつけないと。
…って言っても、いま胸に顔を埋められてても、
どこか小さな子、って言う感じで不快感とか全くないし…
「え」
「…ちぇ」
『あ、研磨くん』
「カズマ、どこ触ってるの」
「穂波の柔らかいとこ。研磨だけいつもずるい」
「………」
『おっ おはよう、研磨くん、カズくん』
そう言って起きあがろうとするんだけど、
研磨くんの腕の力がぎゅーと強くなって動けない。
「おはよ、穂波。 研磨もおはよ」
カズくんの身体がすこし離れる。
「ねぇ、研磨、これどうやっておさめればいいの」
『あわわわわ』
赤裸々な男の子の展開に、布団を被り研磨くんの方に身体を向ける。
…それにしてもやっぱり兄弟のようなとこがあるな、この2人。
「…知らないよ。自分でどうにかして」
「そりゃ家ではどうにかするけど、隣に穂波いるんだもん。どうするの」
「…待つしかない」
「待ってておさまるの?」
「おさめろ」
研磨くんが命令形つかった! …きゃあ、なんかゾクゾクする。