第25章 秋刀魚
ー研磨sideー
穂波と福永が夕飯を作ってくれた。
結局、海くんと芝山と球彦以外はみんな残ってる。
虎なんて来る前は着替えがいるかもってことにあんなに不可解そうにしてたのに、
今じゃあんなに普通ーにいる。
女子の、家に。 まぁ、男女の比率は圧倒的に男が多いけど。
みんなが泊まっていくのかはまだわかんないけど、
そういう力がこの家や、この家に集まる人たちにはあるなって思う。
穂波の持つ空気そのまま大きくした感じ。
ジャージャー麺、もやしと胡瓜とハムの中華サラダ、
海老とアボカドの生春巻き、枝豆とチーズの揚げ春巻き、
キムチののった冷奴、ぬか漬け。
「…うま」
BBQのあとでも普通に食べれる。
野菜が多くて食べやすい。生春巻き、うま。
『…ふふ。よかった』
右端に座ったんだけど、
おれの右横にしゃがんでおれのことを見上げるみたいにする。
そのかわいい顔と距離感にキスしそうになる。
…あぶな
「…穂波は?食べないの?」
『…少し食べようかな、せっかく福永くんと作ったし』
そう言ってスツールをもう一つどこかから持ってきて、
生春巻きとサラダだけを穂波は食べる。
『あ、美味しい。福永くん、美味しいねぇ』
穂波がそう福永に言うと、福永はぐってする。
穂波は福永のことが好きだ。
それに福永も穂波に心を許してるというか、
興味を持っている感じがする。
犬岡との相思相愛な感じもみていて安心するけど、
福永と穂波の組み合わせがおれは結構好き。
『そうだ、研磨くんっ』
「…ん?」
『明日◇◇駅のあたりで秋まつりあるんだって』
「…へぇ。 行きたい?」
『うん!行きたい』
「…ん。じゃあ行こ。ダンスは?」
『やったぁ。みんなが行くならツトムくん車出してくれるって。
知り合いの方のところに停めれるんだって。ダンスは休講なんだぁ』
「…カズマ行く?」
「2人が行くなら行く。浴衣着せてもらう約束したし。研磨も祭りなら着るんでしょ?」
「…あ、そっか。そだね」
すっかり忘れてた。
てか、カズマは穂波に着付けてもらえるから着るのか。