第5章 夏
下に降りると母さんが台所から出てきて
穂波と話し出す。
玄関で少し待ってみたけど、
なかなか話が終わらない。
「穂波、そろそろ行く?」
「ふふ。引き止めちゃってごめんね。またいつでも来てね。ご両親にもよろしく伝えてね」
『はい、また来ます♪じゃあ、失礼します』
家を出て、手を繋いで駅まで歩く。
「穂波、明日の昼から会えそう?」
『うん、会えるよ。あれ、部活は?』
「午前中で終わりだから、…どっか行こ」
『あ、ぇ、うん!嬉しい。どこへ行こうね〜?』
「………海か、川か、山か…そういうとこ」
穂波がそういうとこにいる姿を見たかった。
『…すっごくいい!研磨くんと行きたいってずっと思ってる。
じゃあさ、午後から向かうんだとあんまりゆっくりできないかもだし、公園はどうかな?
光が丘とか、石神井公園とか…大きいとこ』
「…ん、いいね。…そうする」
『お弁当作ってくね』
「…え。本当?…やった」
『…ね、やった!研磨くんありがとう』
そう言って腕にぎゅっと絡みついてくる。
…かわいいな。
「よぉ!研磨!」
もうすぐ駅というところで、クロに呼びかけられる。
「…あ、クロ」
『クロさん!』
「…仲良しだねぇ。駅まで送るとこ?」
「…ん」
「あ、穂波ちゃん、BBQのお誘いありがとう。是非行かせてもらうよ」
『わ。やった!夜久さんも来れそうかな?』
「次の日休みだし、来る気でいるとおもうよ」
『ん。よかった』
「…じゃあ、またなー」
「…ん」
穂波を駅まで送っておれも家に帰った。
ークロsideー
コンビニ行ったついでにふらふら歩いてたら研磨たちを見かけた。
穂波ちゃんと腕組んで、
だからって胸を張るでもなく、
いつもの猫背で歩く研磨。
新鮮かつ安定の研磨。
俺が声かけても慌てもしないし、
やたら饒舌になるわけでもないし、
いつも通りなのがすげー面白い。
てか、もうおばちゃん帰ってきてるだろ。
会わせたのか?
っくー、その場に居合わせたかった〜
今度、おばちゃんいる時に研磨ん家行こーっと