第25章 秋刀魚
周平「おっす、研磨!」
研磨「あ、周平」
…このまま周平に、犬岡のことシゲさんとこに連れてってもらおうかな。
周平「あ、ども。一年生?前、校門であったようなー」
犬岡「あ、はい!1年の犬岡走です!」
周平「…おー、すげー溌溂としてる。周平です。よろしくー」
犬岡「あの、穂波さんのお父さんってどちらに…」
周平「あー、おっちゃんはあっち。一緒に行くか?」
犬岡も周平もナイス。
周平「いやお前もこいよ、研磨。笑」
研磨「あぁ、うん」
そうして周平が犬岡を連れてってくれて、
おれはカズマのお父さんと話したりしてってしてるうちに、
みんなは食べはじめてた。
合宿のBBQと違って、
合図もないしやっぱ気がラクだ。
最初はちょっとよそ行きな雰囲気が出てた虎たちも、
やっぱりこの家の空気?に馴染んで普通になってきた。
『こっちもどうぞー』
穂波が稲荷寿司と太巻きとおむすびを持ってきた。
「うわ!穂波ちゃん!俺お稲荷さん大好き!」
『うん、知ってるよ。だから作ってみた。わたしもお稲荷さん大好き。
こっちは普通ので、こっちは梅ひじきが入ってるよ。
…芝山くんはオムライスだよね?オムライスはまたいつか作らせてね』
「えぇっ あっ はい!是非!」
いつもの魚屋のおじさんにお任せで頼んだら、
時期が少し早いけどって海ぶどうも入ってたーって。
海くんは海ぶどうが好きらしくって、なんか新幹線に乗ってた時みたいな、
すこし浮ついた空気になってた。 …おもしろい。
福永は相変わらずそんな喋らないけど心さんたちに気に入られて、
なぜか一緒にお酒のんでる席に座ってるし、
そこでスルメイカを炙ったやつをよく噛んで食べてる。…なんかウケる。
おれはちょっと食べて、タープの下の椅子に座ってぼーっとしてる。
さんま美味しかった。大根おろしとすだち。
クロ、すっごい嬉しそうにしてたな。
まるで、ご馳走にありついた野良猫みたいな顔してた。