第25章 秋刀魚
「これ、ロシアのパン!母さんと姉ちゃんが焼いた」
『うわぁ〜 すごいいい匂い。ライ麦?なんかいろんな匂いする〜』
リエーフくんが抱えてた紙袋には、数種類のパンが入ってた。
見た目の雰囲気はドイツパンに似てる。食べるの、楽しみ。
それから、果物がまたもいっぱい。
炭酸と100%ジュースも。
『みんな、ありがとう。嬉しい。 …えっと、うちは基本テキトーなので』
みんな真っ直ぐ立ってわたしの指示待ちみたいになってる。
『ほんと、ラクにしてね。大人数だし案内しよう。その方が早いね』
トイレ、二階のスペースと、使ってもいいお兄ちゃんの部屋、
それからBBQやってる場所。そこまでいったら周平を紹介してバトンタッチ。
灰羽「あっ!俺、テレビで見たことある!」
芝山「俺も、そんな気がする… 何かの選手だった気がする」
周平の顔をみて、そんなことを言ってた。
サーフィンやスケボーよりは日本ではスノボはメジャーなスポーツだもんな。
きっと周平とお父さんたちといればすぐにみんなはいつもの調子になるだろう。
「…研磨は?」
『ね、あと犬岡くんがいない。一旦家に行ってるのかな?
ねぇ、カズくんの身長にも合う浴衣あるけど着る?研磨くんには着てもらいたいと企んでるんだ』
「…えー、やだけどいいよ。穂波が着せてくれるなら」
『うん、もちろん。じゃあわたしの部屋いこっか』
「…あとでいい。研磨きてから」
『…?』
「おれも男だし。2人きりで着付けとかされたら何するかわかんないじゃん」
『へっ?』
今なんて言った?
…カズくんは男の子じゃない、男。
研磨くんもクロさんも言ってた。
男の子扱いは、失礼か。気をつけよう。
ーピーンポーン♪
「あ、研磨かな」
『ね!一緒にいこ』
「…