第25章 秋刀魚
ー穂波sideー
日曜日。
午前中のうちに、
周平とカズくんが来ていろいろ準備。
周平とお父さんたちは外のこといろいろ。
コンロとかはもちろんタープ張ったり、テント張ったり…
夏祭りのBBQには人がいっぱい来るからテントはださないけど、
今日の人数ならスペースあるしとか言って。
いつまでもわくわくすることが大好きな男の人たちを眺めるのって大好き。
お母さんたちとカズくんとわたしは家の中で、
食材のあれこれ。
カズくんがお手伝いするなんて初めて。
こうして大きくなってくんだなぁ。
こういう、クールで媚びない子が当たり前のように女の子の手伝いとかできると、
きっとくらくらメロメロになる子は多いだろうなぁと思う。
「おれ穂波にしか興味ないから」
『へっ?』
甘く煮た油揚げに酢飯を詰めながら考えてたら
一緒に作業してるカズくんがそんなことを言う。
『あれ?わたし今声に出てた?』
「ううん。顔に出てた」
『………』
「………」
『えっ顔にそんなことまで出ないよ!」
そんなことまで出るのかな…
そろそろ、みんな来るかな。
さっき、携帯にクロさんから通知が入ってた。
電車乗りまーすって。
ーピーンポーン♪
「おれ、行く」
『うん、ありがとう』
カズくんが扉を開けてくれて、
「おじゃましやーーーす!!!」
家では聞き馴れぬ声と雰囲気が一気に漂う。
日本の部活っぽい挨拶。微笑ましい。
カズくんはあからさまに引いてる。
それをクロさんが苦笑しながらみてる。
「穂波ちゃん、これお土産〜 とりあえずここでいい?」
『…あ、うん!今行く!』
手を洗って、テーブルのとこへと向かう。
「穂波ちゃん!浴衣!かっわいいーーー!」
『えへへ。ありがとう、リエーフくん」
「なんか、去年と違って大人っぽいな。去年はもっと、娘!って感じだったけど」
『…秋の柄だからかなぁ? …たすき掛けが似合わない感じだけど、思い切りたすき掛け。笑』