第24章 かぼちゃ
ー月島sideー
他校より少し早く練習を終えて、
寝泊まりした部屋とその階のトイレを掃除したりしてから
体育館へ戻り挨拶をする。
それから各校キャプテンとか、
日向と仲良い部員とかが玄関やマイクロバスのとこまで見送りに来る。
…穂波さんも。さっきまた泣いてた人。
『蛍くん!2日間お疲れさま』
「あぁ、うん。穂波さんも、お疲れさまです」
『あの、ね。昨日ね、お礼言ってなかったなって思って』
「…?」
『蛍くん、優しいことまた言ってくれたでしょ。
ちょっと考えちゃって、言えなかったけど嬉しかった。ありがとうね』
「あぁ、うん。伝わってるならいい」
『………』
「なんでそこで照れるわけ?」
『…だって』
「じゃあ、また電話するから。出れるとき出てね。いろいろ日にちもメールする」
『うん。 …蛍くん、ハグしてもいい?』
「…あぁ、どうぞ」
そういうと、躊躇なく僕にぎゅっと抱きついてくる。
出会ってから今まで何度か抱きしめたけど、
こんな風に抱きつかれたのは初めてで、不覚にも鼓動が速くなっていく。
そっと背中に手を回して抱き返す。
『蛍くん、わたしのこと好きになってくれてありがとう』
「…はぁ!? ちょっと、今、そんなこと言うのやめてくれる?」
『あ、ごめん。蛍くんの心臓の音、今日ちょっとはやい』
「…ちょっと、いい加減にして。 …ってわざと言ってるんじゃないんだよね。ほんとたち悪い」
『………』
「…じゃあ、強くハグしてまた会う日までってことで」
『…ん』
このまま身体くっつけて見上げられて話してると、
心臓だけじゃなくて身体の別のとこが反応しちゃいそうになる。
そんなことになったら厄介極まりない。
ぎゅっとしてから、身体を離すと。
笑顔で手を握りしめてくる。
…何この人。ほんと、天真爛漫すぎる。
『じゃあ、またね!蛍くん!ありがとう』
「はい、じゃあ、またすぐに」
手を解いてバスに乗り込む。