第24章 かぼちゃ
ー研磨sideー
「やっべ、野菜炒めじゃん!」
夜久くんが興奮してる。
犬岡の唐揚げへの興奮は想定してたけど、
そっか夜久くんの好物も今日は盛り込まれてるんだ。
「うんめーやっぱ野菜炒めさいこー」
クロ「確かにうまいな。安定の味」
夜久「なぁ、野菜炒め作ったことある?」
クロ「…まぁ、とりあえず野菜を炒めることはしたことある」
夜久「あれさ、まぁそりゃ簡単っちゃ簡単なんだけどさ、難しいよな!」
クロ「………。 …なぁ夜久、言ってることはわかるけども、こっちに頼りすぎじゃね?」
海「わかるわかる。火加減とかね、味付けとかね、簡単そうで難しいよな」
夜久「だよな! こんな大人数のって難しいんだろうなって思うんだよ。
…なのに家で俺が作る一人前より旨い!」
穂波も言ってたな。炒め物と卵料理はまだ苦手だって。十分美味しいんだけど。
慌ただしいのと、火加減を曖昧にできないし、ごまかせないって言ってた気がする。
煮込みとかオーブン料理やスープは、
微調整がしやすいし割とあとからどうとでもなるし、
何より放って置けるんだ、って嬉しそうに喋ってた。
何作っても美味しいのに、穂波にもそんなのあるんだなぁと思ったのを覚えてる。
卵焼きとかいつもすごい美味しいのにな、って。
この定番の、きゃべつ、人参、ピーマン、もやし、豚肉が入った野菜炒めも美味しい。
…たしかに誤魔化すのは難しそう。
クロ「…で、研磨はそこで黙りこくって何考えてんの?」
研磨「いや、別に…」
夜久「うまいよな!野菜炒め!」
研磨「あ、うん。美味しい。穂波苦手だって言ってたけど普通に美味しいよね」
夜久「いや普通じゃない。すげー美味しい」
研磨「…あぁ、うん」
夜久くん、そんな野菜炒め好きなんだ。
焼きそばとか、別になんでも好きそうなのに。
「あ、そういえば」
クロ「…ん?」
「9月にさ、穂波ん家でBBQして、七輪で秋刀魚焼こうって言ってた」
クロ「サンマ!」
「来れるならみんな来たらいいなぁって言ってた。部員」
クロ「まじかぁー 夏休み後にもそんなのあったらアガるねぇー。
早めに日にち決めて部員の予定も空けとかないとだなー」