第24章 かぼちゃ
ー月島sideー
午前中の練習が終わって、昼食。
いつも音駒での合宿では配膳するとこにいない穂波さんが、ご飯をよそってる。
『あー蛍くんだ。お疲れさまぁ』
「お疲れさまです。珍しいですね、ここにいるの」
『うん、もう仕込みがないからさ。お皿が返るまでここにいる』
「へぇ」
『はい、どうぞ。量、ばっちしじゃない?』
「あぁ、うん。ちょうどいい。いただきます」
すごいどうでもいいことだけど…
基本どのくらいの量食べるのかとか、知ってもらえるのっていい。
ま、僕に限らずここにきてる部員のってとこだろうから、浮かれる要素はひとつもないんだけど。
唐揚げ、野菜炒め、夏野菜の冷たい煮物、ズッキーニの味噌胡麻和え、
とうもろもしの和風ポタージュ、きゅうりの浅漬け、たくあん。
唐揚げは普通のと、おろしポン酢と小ネギがかかってるのがあった。
昨日今日と暑くて結構バテ気味だけど、朝はちらし寿司だったし
今もおろしポン酢とか煮物が冷たかったり。食べやすい。
基本いつも熱い汁物があるんだけど、そういうのも逆にいいんだろう。
胃が疲れないというか。 ほんと、いろいろちょうどいい。
胃袋を掴まれるってのは、なかなかすごいことだと思う。
この先も思い出してしまうくらい、日常的なことなわけだし。
ほんと、足跡をどんどん残してくな、穂波さんって。
「うっわー!唐揚げだ!唐揚げ!穂波さん!唐揚げ作ってくれたんすか!」
音駒の7番がすごい興奮してる。
『…ふふ。犬岡くんに聞いてから、作りたいなぁ〜って思ってたんだ。いっぱい食べてね』
「犬岡は唐揚げが好きなんだな!唐揚げってうまいよなぁ〜」
「翔陽の好きな食べ物はなんだ?」
「なんでも好きだけど、強いて言うならたまごかけごはん!」
「あーそれはうまい!うまいけど穂波さんに作ってはもらえないな!」
「なにっ!?じゃあなんか他に考える!」
僕にも好きな食べ物聞いてきたけど…
ショートケーキはね… なかなか機会なさそうだよね。
「俺も他の考えておこっと」
隣で山口が言う。
ふにゃふにゃになったフライドポテトを作ってもらうわけには… いかないもんな。
想像するとウケる。