第24章 かぼちゃ
ー穂波sideー
「…じゃあ、ちょっとだけ」
そう言って研磨くんは座ったままで、
立っているわたしの腰に抱きついてきた。
きゅううん。
研磨くんの頭を両腕でそっと包んでぎゅうと返す。
「…ん」
少しして身体を離し、わたしの顔の方に向けて手を伸ばす。
吸い寄せられるように顔が近づいていく。
ふわっと唇が重なる。
柔らかくてあったかい研磨くんの唇。
数回、啄むように口付ける。
『研磨くん、すき』
「…ん、おれも」
「…ゴホンッ ……ごちそうさまです!」
あっ、またもやってしまった。
振り返ると大地さんと菅原さん、旭さん。
『あわわわ!お皿ありがとうございます! …ん?』
慌てて大地さんたちの方に向かおうとすると
研磨くんにエプロンの裾を掴まれた。
澤村(…苦笑)
菅原「…あっと、ここ、置いとくな! ってか、これ重ねんべ」
旭「あっ あぁ、そうだな… 重ねよう…スペース空けれるもんな」
そう言ってお茶碗はお茶碗、平皿は平皿…みたいな感じで重ねて、
トレーも重ねて、トレー1枚分のスペースに収まるようにしてくれる。
その間にエプロンを掴んでた研磨くんの手は後ろから腰に回されてぎゅってされる。
…だ、大胆と言うかなんというか。
澤村「…すっげー美味しかった! …って、え?」
菅原「ほれ、もう行くべ行くべ。 マジで美味しかったよー!」
旭「ごちそうさま〜 美味しかったよ〜 あはは」
すっごく気を遣われてた気がする…
なんて優しい3人なんだろう…
『研磨くん、そろそろ、動こうかな』
「…ん。 昨日はキスされなかった?」
『へっ あ、うん? ほっぺにされた… えと、カズくんと蛍くんに』
「…カズマ?」
『…ん』
研磨くんは腰に手を添えてわたしの身体を反転させる。
立ち上がって、ほっぺにちゅっとキスを落とした。
反対側のほっぺにも、それから額、首筋…
「…ん。おれの」
『…ん。研磨くんの』
「…ん」
そう言ってまた研磨くんは椅子に座って残りの朝食を食べ始める。