第24章 かぼちゃ
『そう!でもね、唐揚げだけじゃなくって』
「…へぇ」
『唐揚げとご飯なんだって。 …なんかさ、すごい真っ直ぐっていうか。
どどーん!って感じ。 犬岡くんそのものっぽい感じにキュンとしちゃって』
「あぁ…」
『それで、今日のお昼は唐揚げを揚げてみようと思って』
「へぇ」
それは犬岡、尻尾振って大喜びするだろうな。
それになんでこんなに、作る側の穂波まで尻尾振ってそうなほどに
嬉しそうな顔するんだろ。 かわいすぎる。
唐揚げの仕込みは終わったようで、次は野菜を切り出した。
プチトマトに切り込みを入れていってる。淡々と、淡々と。
なんでこんな大人数の食事をこうも丁寧に作れるんだろ。
おれならもっと簡単な作業のやつにするのに。
でも、台所で作業する穂波をみるのが好き。
だから、ご飯食べながらぼーっと見る。
いつか一緒に住む家はカウンターキッチンか、オープンキッチンがいいな。
…あーまたふわふわしたこと考えてる、おれ。
『研磨くん、お茶飲む?』
「うん、飲む」
『あったかいの、飲む?』
「うん、あったかいのちょうだい」
暑い夏に、あったかいお茶とか前は全然飲む気なかったけど
穂波といるようになって、飲むのが当たり前になった。
穂波といるときと、母さんに聞かれたときだけだけど。
なんか身体がラクになる気がする。
『玄米茶、五穀茶。どっちにする?』
「…五穀茶」
おれも穂波も、緑のお茶より茶色いお茶が基本好きだ。
大体いつも茶色いお茶。
緑のお茶は大抵トイレが近くなる。気がする。
それを話したら穂波はカフェインがどうとか言ってた。
『はい、研磨くんお茶どうぞ』
「…ん。少し手が空いた?」
『…ん?朝のうちにやる仕込みの4分の2、クリアしたよ』
「あとの2つは簡単?」
『…ん?どれもそんな難しいことはやってないよ。量が多いだけ』
「…じゃあ、ちょっとだけ」
穂波の腰に腕を回してぎゅうと抱きつく。