第24章 かぼちゃ
ー研磨sideー
【研磨くん、今、銭湯から戻りました。
今日もありがとう。また明日、おやすみなさい。xxx】
朝起きてからチェックした。
何のためかはわかんないけど安心する。
ぼーっとしながら顔を洗いに廊下を歩く。
「おい月島!何だそのTシャツについたカピカピ!」
烏野のリベロが大きな声で言うのが聞こえる。
月島の声は聞こえないけど
また、穂波泣いたのかな。
月島の前でよく泣くな。
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朝食の時間になって、
普通だと別にお腹ぺこぺこじゃないし、
人があんまいない時がいいから時間ずらしていくんだけど、
穂波が洗い物でいそがしくなる前に行こうと思ってわりとすぐ行った。
とろろ昆布とお麩の吸い物、切り干し大根煮、かぼちゃのごま煮、茶碗蒸し、
トマトとアボカドの白和え、小松菜のお浸し、きゅうりと鯵の干物のちらし寿司
昨日の夜も今朝も残暑?暑かったから、ちらし寿司嬉しい。
薬味がどっさり乗ってる。
塩むすびも置いてあったけどおれには十分だから取らなかった。
トレーを持ってそのまま調理室に向かう。
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『あ、研磨くん。 おはよう』
「…ん。穂波おはよ」
調理室には穂波が一人だけいて、昼食の仕込みをしてる。
今は、大量の鶏肉を切ってボウルに入れていってるみたい。
同じ調理台の空いてるとこに座る。
『…もう、この作業終わる。食べてる目の前であんましみたくない作業だよね』
「…いや、まぁ、そうだけど… おれが勝手に来たんだし、気にしないで」
『…ん。でももう、これでおわるんだ』
「…ん。いただきます」
『はい。召し上がれ』
…今日もおいしい。どれもこれも。
毎回おんなじことしか言えないけど、
それでもおいしいと呟くだけで穂波はいつもの嬉しそうな顔をする。
『…犬岡くんの好きな食べ物知ってる?』
「え?」
『前に聞いたことがあって。印象的で』
「…あぁ、うん。唐揚げでしょ」
昨日話してた。